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「Aちゃん、広報でうちに入ったみたいですよ」
翌日、壮真からその報告を受け、彼女が本当に球団で働くことになったのを知る。
本当に裏工作…的なことができるんだな…。
「そういえば昨日聞き忘れちゃいましたけど、ヒーローってお給料出るんですかね」
「たしかに…てか今それ関係なくね？」
「いや球団で働くってことは二足の草鞋を履くってことじゃないですか？だからその辺どうなってるのかな〜って」
「まぁ、たしかに…？」
そんなやり取りを壮真としていると、廊下の方がざわついていることに気づく。
何事かと思って覗くと、哲人さんや宗さんが誰かを囲んでいた。
「あ、」
よく見ると、輪の中心にいるのはAで、どうやら哲人さんに質問攻めにあっているようだった。
「おっ、秀樹やん、秀樹もこっち来てみ、この子新入りらしいで」
あれよあれよという間に彼女の前に引っ張り出される。昨日の今日なのでどんな顔をすればいいか分からなかった。
「よ、よお」
「あ、」
「え、2人知り合いなん？」
哲人さんが興味津々と言った風に顔を寄せてくる。
「えっと、この間球場に来た時に私迷子になっちゃって…この人に道教えてもらったんです」
彼女がありもしないことをおそるおそる言う。
昨日のは伏せる方向なんだな。
「なるほどなぁ、こいつ長岡秀樹っちゅーねん、こっちは内山壮真。年も近いみたいだし仲良くしてやってな」
「初めまして、内山です。よろしくお願いします」
物分かりのいい壮真がまるで初対面かのように彼女に挨拶をする。
彼女も初めまして、と返していた。
こいつら、ちょっと怖え…
「にしてもこんな時期に中途採用なんて珍しいなぁ、前は何してたん？」
ぐいぐいと哲人さんが彼女に詰め寄る。
「前はフリーターしてました！いい加減腰を据えようかと思いまして、就職した次第です」
彼女も噓か本当かわからないことを堂々と答える。
「ちなみにAちゃん、野球は詳しいん？」
「あ、それが恥ずかしながら勉強中でして…採用されたからにはきちんとお仕事ができるように、必死に勉強してるところです」
「そうなんや、勉強熱心なのはいいことやんなぁ。秀樹、壮真、ふたりAちゃんの教育係せえ」
「「「!？」」」
彼女と壮真と３人で顔を見合わす。
なんて？
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作者名：麗華 | 作成日時：2024年2月14日 4時
