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「でも、球場に雇われて何するんだ？」
「そうだな…とりあえず君たちのそばにいたい」
「！？」
突然の物言いに若干フリーズする。
え、俺たちのそばにいたいって…？
「なんか勘違いしてるみたいだけど、君たちは記憶が消えてないでしょう？イレギュラーな存在だからそばにいて色々研究したいの」
「そういうことなら、球場じゃなくて球団に入った方がいいかもしれないです」
横から壮真が口を出す。
「球団？君たちが所属してるチームってこと？」
「はい」
「そっか、ありがとう、じゃあそうする」
「え」
じゃあって、俺たち了承したことになってない？いいのか？
壮真を引っ張ってそう耳打ちすると、いいんじゃないですか、と呑気な返事が返ってきた。
「じゃあ決まり、明日からお世話になります」
そう言って彼女がぺこっとお辞儀をする。
って、明日…！？
「明日ってそんな急にできるのかよ」
「できるよ、リライズの手続きを経れば」
「凄いですね〜リライズって。他にも沢山メンバーがいるんですか？」
興味津々に壮真がそう尋ねる。
「他にもいるけどこのエリア2986には私とマネージャーの2人しかいないよ」
「エリアにーきゅーはちろく…？」
「この球場付近一帯を私たちはそう呼んでるの。私がそのエリア2986の担当」
「そうなんですね、あ、そういえば自己紹介してませんでしたね、俺内山壮真って言います」
「ありがとう、君は？」
そう言って彼女がこちらを向く。
「俺は長岡秀樹、その、よろしく」
「よろしく。私の方が年下だと思うから敬語じゃなくていいよ」
そういうお前は敬語じゃないのかよと思ったけれど、正義のヒーローのような存在に敬語を求めるのも何か違う気がして黙っていた。
「そう、なんだ。いくつなの？」
「20歳、2人は？」
「僕は一個上の21です。秀樹さんは22ですよ」
「やっぱり2人の方が年上だっ。敬語の方がいい？」
そこ気にできるんだ…と思ったのもつかの間、壮真がやっ、と言葉を挟む。
「仲良くなりたいからタメで！」
「仲良くなりたいの…？私と？」
壮真の物言いに困ったような、不思議そうな表情で彼女が問う。
その表情はどこかあどけなくて、幼い少女のようだった。
「そんなに驚くことかよ」
「だって、バケモノと戦う得体の知れない存在なんて普通怖くない…？そう思われるよって教えられてきたから…」
彼女が、自信なさげにそう呟く。
その姿は昨日の人物とはまるで別人だった。
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作者名：麗華 | 作成日時：2024年2月14日 4時
