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「それで、話って」
「うん、まず自己紹介から。私は柊A。リライズのメンバー」
「リライズ…？」
聞き慣れない単語を、壮真が反芻する。
「リライズはカデンツァと戦う守護部隊みたいなもの。カデンツァは昨日襲ってきた奴ね」
「ああ、確かギークとかいう…」
「そう、ギークはカデンツァの幹部の一人」
「あの、どうしてそのカデンツァ…？は俺たちを球場を襲ってきたんですか…？」
壮真が彼女にそう告げる。確かにそこは俺も気になっていたところだ。
「カデンツァは人々の悲鳴を集めてるの。逃げ惑う人の悲鳴、恐怖に怯える悲鳴、とかね」
「悲鳴を集めて何がしたいんですか…？」
「それはリライズも研究中だけどまだ分かっていないの。とにかく今は街中に出現するカデンツァを排除するのが目的で動いてる」
なんだかテレビの中の話みたいだと思ったが、実際昨日見た光景があるのだから彼女が嘘を言っているとも考えにくかった。
「あ、そういえば」
思い出したように壮真が口を開く。
「昨日のこと、俺たち以外の誰も覚えてなかったんです。これもカデンツァの仕業ですか？」
「ううん。みんなから記憶を消したのはリライズがやったの。バケモノが出たなんて広まったら大変だから日付が変わったタイミングでみんなの記憶から昨日の記憶を消した」
「でも俺は覚えてます。秀樹さんも」
壮真がそう言うと、彼女はそうなんだよね〜〜〜〜と、宙を仰いだ。
「私たちは今まで、カデンツァと戦った翌日は現場を訪れてきちんと現場が修復されているか、昨日のことを覚えている人がいないかの確認をしてるの。それで今までも特に漏れはなかったんだけど…」
「俺と秀樹さんは何故か覚えてた、と」
「ねぇ、お願いがあるんだけど」
突然彼女が俺たちの方を見つめて真剣な表情をする。
「何…？」
「私たちリライズに協力する気はない…？」
「は…？」
「カデンツァは人が集まるところに現れやすい。また球場に現れても何もおかしくないと思うの」
「協力って、具体的に俺たちは何をすれば…？」
俺も気になっていたことを壮真が問う。
「そうだな〜私を球場で雇ってほしい」
「！？」
「いや、さすがに俺たちにそんな権限はねぇよ…」
「大丈夫、君たちの了承さえ貰えれば細かな手続きはこっちでするから」
細かな手続きってなんだよ…と思ったけれど、よく考えたら昨日一晩の記憶を大勢から消し去っているのだ。
なにか工作ができても不思議ではない。
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作者名：麗華 | 作成日時：2024年2月14日 4時
