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彼女が寮の近くに住んでいれば、送り迎えもしやすいし、何かあった時に便利だと思った。


「戸田…?ってあの二軍の球場があるとこ?」
「そう、選手寮もそこなんだよね。ちょっと片田舎だけど…大体神宮まで1時間くらい」
「1時間か〜選手寮もあるってことは秀樹さんもそこに住んでるの?」
「うん。壮真もいるよ」
「そっかぁ、じゃあその辺にしようかな、選手のみんなの安全も守りやすいし」
「おう、いい部屋探そうな」









Aはいくつか不動産屋を回ると、さくっと部屋を決めていた。
部屋選びってもっとこう何日かかけてじっくりするもんだと思ってたけど…こういうとこサッパリしてるよなぁ…。
人の部屋選びを手伝うというのは初めてのことで、少し緊張したのは内緒だ。


「今日はありがとう!わざわざオフの日にごめんね」
「いいって。部屋決まってよかったな」
「うん!引っ越したらまた連絡するね、それじゃあ」
「じゃあな」

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
数日後、無事引っ越しが完了した旨の連絡が来て、Aが戸田の住民になったことを知る。

今度壮真と引越し祝いでも持ってくか。









Aが引っ越してから数日後、いつも通り球場に着くと、クラブハウスの入口で哲人さんと宗さんが話していた。

「どうしたんすか?」
「あああの新しく入った子、今日体調不良で休みらしいで」
「え、そうなんすか」


そういえば、昨夜からメッセージに既読がつかなかったのを思い出す。


「新入りだからって張り切りすぎたんやろなぁ…今日デイゲームやし、秀樹、壮真と一緒にお見舞い行ってきたらいいんちゃう?」
「なんですか?」

その時、向こうからちょうど壮真が歩いてきた。

「Aちゃん、体調不良で休みやって。壮真、秀樹と一緒にお見舞い行ってき」
「え、そうなんですか。秀樹さん、行きましょう」
「え、おおう。わかった」


壮真が食い気味に了承したのに少し驚く。
壮真もあいつが心配なのか…。
いや、心配するのは悪いことじゃないよな…。
何モヤモヤしてるんだ俺…。

そんなことを思っていると、くいと壮真が俺の服の裾を掴み、顔を寄せる。

「ただの体調不良じゃなくて怪我とかかもしれないでしょう。人手が必要かも」


壮真にそう耳打ちされて、俺はハッとする。
確かにそうだ。
またカデンツァと戦って負傷したりしているのかもしれない。
俺はいてもたってもいられなくなった。
 
 
 
 

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作者名:麗華 | 作成日時:2024年2月14日 4時

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