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「もうっ、秀樹さんまで私のことからかってるでしょ!?」
「ははっだってかわいーんだもん」
「また…!」
「ま、からかってねーけどな」
「?なんか言った?」
「なんでも。じゃあ気をつけて帰れよ。何かあったら連絡…」

そこまで言ってハッとする。
俺こいつの連絡先知らねぇな…

同じことを思ったのか、彼女が、あ、とこちらを見た。


「連絡先、交換してなかったな。教えてくれる?」
「うん、もちろん。はいこれ」

そう言って差し出されたスマホに俺の連絡先を入れる。
彼女との繋がりがまたひとつ増えた気がして嬉しかった。


「じゃあ今日は本当にありがとう。お疲れ様。おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」


手を振る彼女を見送って、車に戻る。
そのまま夜風にあたりながらふぅと息をついた。


俺、やっぱりあいつのこと…

俺は駆け引きなんて得意じゃないし、気持ちも真っ直ぐ正直に伝えたい。

しかし、相手は一般人ではない。
よく分からない組織と戦う、正義のヒーローなのだ。

そもそもヒーローって、あいつってその…恋愛していいのか…?

恋愛禁止とかだったら、俺は即座に玉砕することになる。

とはいえいきなり直接それを聞くのもハードルが高い。
壮真にでも相談してみるか…。

そう思いながらハンドルを握り直し、俺はまた寮への道を走らせるのだった。









ピロン

数日後のあるオフの日、スマホの通知音で俺は目覚めた。

ん、あいつからだ。

『移転願通ったよー!部屋探しに行きたいんだけどあの辺詳しくないからよかったら一緒に行かない?』


俺が?あいつの部屋探しを手伝うのか?
なんかそれ、その、同棲するカップルみたいじゃねぇか…?

とは思ったものの、断る理由もないので承諾した。
返信をすると、すぐまた返信が返ってくる。

今から行くというので、俺は慌てて支度をした。


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
待ち合わせの場所まで車を走らせると、Aはもう既にそこにいた。

「お待たせ」
「オフのとこごめんね…!私全然土地勘なくて…」
「いいよいいよこれくらい。行こっか」


あの日のようにまた彼女を車に乗せる。
これで2回目だ。やっぱり少し緊張する。


「ねーどの辺に住むのがいいと思う?球場の近くって全然住む所なくない?」
「それなんだけどさ…お前、戸田来ねぇ?」


場所の相談をされ、思っていたことを聞いてみる。
 
 
 
 
 

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作者名:麗華 | 作成日時:2024年2月14日 4時

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