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｢からかってるわけじゃなさそうだけど…｣
｢そう？でも帰り道とかで急に現れて好きだとか言ってくるよ？どう見てもからかわれてない？｣
｢え、そうなんだ…｣
いや、てか帰りにいきなり現れるのは不審者がすぎるだろ…
｢でも野球は少し見に行って欲しかったかなぁ｣
｢え、そうなの？｣
彼女が予想外のことを言うので思わず問い返す。
｢だって、秀樹さんとか内山くんのかっこいい姿見てほしかったな〜って｣
｢かっこいい…？｣
｢かっこいいよ…！試合してる時の秀樹さんや内山くんはすごくキラキラしててかっこいい、眩しいくらいだよ｣
｢そ、そっか…ありがと｣
俺が初めて彼女を見た時と同じようなことを俺に思っていてくれることが、嬉しいような恥ずかしいようななんだかとてもむず痒い気持ちになった。
というか、本当にギークがこいつのこと好きだったとして、他の男のかっこいい姿を見てほしいって、ギークのやつ脈ナシすぎるだろ…
Aもからかわれてると思っているらしいし、ちょっとギークに同情した。
｢あ、今日はね客席で試合見れるんだ〜楽しみにしてるね｣
｢お、おう｣
試合が見れると言う彼女の表情がとても明るくて、こちらも頑張らないとなという気持ちになる。
俺、こいつのために頑張りたいって思ってる節あるな…。
｢じゃ、今日も頑張ってね、また｣
｢おう、Aも仕事頑張ってな｣
・
・
・
今日も無事試合が終わり、クラブハウスに戻る。
そこで小さな背中を見つけた。
｢おつかれ｣
｢あ、秀樹さん！お疲れ様です〜今日の守備さすがだったね｣
｢おう、ありがと｣
そのまま帰り支度をするAを見て、あることを思う。
｢なぁ、そういえばお前、家どこなの…？｣
｢家？今はまだリライズの宿舎にいるよ｣
俺に顔を寄せてそう耳打ちする。
急に顔を寄せられてびっくりしたのは内緒だ。
｢でもここまで遠くてさ〜移転願出して引っ越そうと思ってるとこ｣
｢そうなんだ、なぁ途中まで送ってこうか？｣
｢え、いいよ悪いよ｣
｢いやこんな時間に一人で帰すのちょっと躊躇うし｣
渋る彼女に少し強引に告げる。
帰りにギークに会うことがあると言っていたのもあり、なるべく一人で帰したくないと思った。
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作者名：麗華 | 作成日時：2024年2月14日 4時
