怖い ページ6
本番まであと15分。
………近づいてくるたび緊張感が高まる。
周りもだんだん話し声がやみ、
かわりにスタッフさんの声が飛ぶ。
私たちの出番は一番最後。
それを最初に聞いたときは"大トリなんですか？！"ってビックリしたけど、
嵐だしな。って後に納得した。
あの嵐に新メンバーが入るんだもん。
そりゃ最後まで引っ張るよね、って変に他人事。
………なんかもう、いろいろ考えてたらお腹まで痛くなってきた………
｢………すみません、お手洗い行ってもいいですか………｣
隣の二宮さんに小声で聞くと、
吐く？具合悪い？
って変に心配かけちゃって。
いや普通に！って慌てて返した。
それでもまだ少し疑われて、
あんまり遅かったら迎えに行くからねって言葉をもらってトイレに向かった。
｢………………ふーぅ………｣
個室から出て手を洗いながら何気なく自分の顔を鏡で確認する。
メイクで隠れてはいるはず。
けどやっぱり具合悪いですって顔をしてしまってる気がして無理やり笑ってみる。
…………出来る。大丈夫。
自分に言い聞かせていると、
入り口の方からヒールのような足音。
｢………あ、お疲れ様です｣
入ってきたのは、司会の女子アナウンサーさん。
軽く会釈をされたので返すと、
そのまま私の隣に来て化粧直しを始めた。
………顔小さいなー、
可愛いなあー
なんて女の私から見ても綺麗なその人に見とれていると、
｢Aさん、でしたっけ｣
綺麗な声で話しかけられた。
｢はいっ！｣
驚いて声を裏返しながら返事をすると、
その人はリップを塗り直しながら私の方を見もせずに言った。
｢私、二宮さんと付き合ってるの｣
……………あ、
そうなんですね、
何を言われるのか分かった気がして
この人の言い方が怖くて
小さく返す。
｢なんで和くんあなたのこと呼び捨てにしてたの？｣
和くん………
前のナツミさんと櫻井さんの時とは違うこの雰囲気。
本当に彼女さんなのかも。
｢………え、と……私が緊張してて、
それを和らげようと思ってくださって、｣
｢あなたから頼んだの？｣
ずっと鏡越しに自分を見ていたその人が
バッと私をみた。
…………これ、いろいろ言ったらだめなやつかもしれない。
そう思ったから、咄嗟に
そうです、すみません
と答えた。
｢…………………ふぅーん、｣
横目で私を下から舐めるように見るその目が怖い。
綺麗な人だから、なおさら怖い。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1161人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちぃ(プロフ) - おかえりなさい！長らく更新されてなかったので半分諦めつつも、素敵なお話しなので登録解除も出来ずにいましたが… 戻ってきて下さってありがとうございます！ 退職万歳＼(^o^)／ (2021年9月21日 12時) (
レス) id: 038f602d6e (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - 初コメです！hiroさん戻ってきてくださって嬉しいです！！あと、退職おめでとうございます笑笑 お話の続き、楽しみにしております。気長に待っておりますので、ご自身のペースで更新なさってください！ (2021年9月20日 1時) (レス) id: c72bd2a0fb (このIDを非表示/違反報告)
∞横山あらしちゃん∞(プロフ) - 初めまして。この作品が大好き過ぎてずっと待っていました(´；ω；｀) これからも楽しみにしております！！ (2021年9月16日 23時) (レス) id: b6736fcc7a (このIDを非表示/違反報告)
ほしにゃあ(プロフ) - ここで更新終わりなのでしょうか…？続きが気になってしまいました…！主人公ちゃんの成長を見守りたいてす！ (2020年12月29日 3時) (レス) id: 5991f59eda (このIDを非表示/違反報告)
hiro(プロフ) - かずなさん» ひー！！！さっそく戻ってきていただけるなんて……………ありがとうございます(ToT) (2020年1月14日 19時) (レス) id: fea287eb7e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：hiro
| 作成日時：2019年7月19日 9時
