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ーガチャ
ゆ「ただいまー」
学校の授業が今日は午前中だけだったゆうはお昼頃に帰ってきた。
きっと、けいは寝てるんだろうなと思い、ゆうは音を立てずに静かに家の中へと入った。
ゆ「けーちゃん、ただいま…」
リビングにあるソファーの上で苦しそうに寝ているけいの髪をそっと触りながら、ゆうは呟いた。
け「……ん」
ゆ「けーちゃん?…分かる?」
ゆうはそっと、けいの手を握る。
け「ゆ…う?ケホッケホッ……お帰り…」
ゆ「ただいま。大丈夫?苦しくない?」
寝起きだから、体調が悪いからか、虚ろな目でけいはゆうを見ていた。
ゆ「けーちゃん?」
様子がおかしいと思ったゆうはけいの名前を呼んだその時だった、、、
け「…ッ!!ゲホッゲホッ!ゲホッ!ハァハァ…ケホッケホッ」
けいはまた、あの咳が止まらない苦しい感覚に押し寄せられ、胸を押えた。
ゆうはそれを見て驚いたが、すぐにけいの背中を擦りながら"大丈夫大丈夫"と落ち着かせた。
少しの間、けいは胸の痛さと咳に苦しんでいたが、徐々に治まってきた。
ただ、今のけいには咳をするだけでも体力をかなり使う状態だった、、、
ゆうは帰ってきた時よりもグッタリしているけいを見て、
ゆ「けーちゃん、、、病院、行こ?」
けいは首を横に振りながら
け「皆が…たかとしげが…ケホッケホッ、、、帰って来るまで、待ってる…ケホッ」
ゆ「でも、、、」
け「しげに約束したんだ…皆が帰って来るまで、ここで待ってるって」
辛そうに息を吐くけいを、ゆうは眺めながら
ゆ「じゃぁ…せめて、マスクはしよ?苦しいでしょ…?」
けいは、家でいつ体に何が起きるか分からない為、病院から酸素マスクを借りていた。
苦しいとき、呼吸が短くなった時、その時はすぐに付けてほしい、そう先生から言われていた。
ゆうは寝室から酸素マスクを持って来て、ソファで寝ているけいの口元にマスクを付けた。
け「ありがと…ちょっと楽だ〜」
マスクから酸素が送られ、けいは少し楽になり、いつもののんびりとした喋り方になっていた。
それを見てゆうは”良かった”そう笑った。
ゆ「あ、マスク付けちゃったけど、何か食べれる?お昼だけど、、、」
け「…エクレア」
ゆ「え?笑」
け「エクレア…食べたい」
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かぐや姫(プロフ) - どうしよう涙が止まらない。すごく感動する作品でした。★は1番右にさせていただきました (2017年3月20日 17時) (レス) id: 6f7b4e4069 (このIDを非表示/違反報告)
さば(プロフ) - もぉ涙が止まらなくて。 めっちゃ感動しました(;_;) (2016年10月9日 0時) (レス) id: 4027e89328 (このIDを非表示/違反報告)
やな(プロフ) - 成海さん» そう言ってもらえて嬉しいです!読んで頂きありがとうございます! (2016年10月8日 16時) (レス) id: 89b45d939a (このIDを非表示/違反報告)
成海(プロフ) - 感動しました!;_;涙が... (2016年10月6日 20時) (レス) id: 65d9be9bf1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やな | 作成日時:2016年10月1日 15時