オトナの階段(ナランチャ) ページ43
「♪〜」
「A〜、何作ってんの〜？ 」
私がキッチンで作業をしていると、ナランチャが空のグラスを持ってやってきた。
「苺のケーキ作ってるのよ。オレンジジュースおかわり？ 」
「ん、自分でやるよ！ 」
ナランチャからグラスを受け取ろうとすると、彼は手で静止し冷蔵庫を開ける。
「苺のケーキかぁ〜！！ 早く食いてぇ！ 味見ならまかせろ！！ 」
「じゃあ、まず苺の味見してみる？ 美味しそうなの選んだから甘いと思うんだけど…はい、あーん」
私は苺を洗ってヘタを取り、一粒つまんで彼の口元へ持っていく。
「あーん」
言われるまま口を開けるナランチャが可愛い。
ぱくっ
「っ！」
「甘い！！ この苺、スッゲー甘いぜA！！ 」
ビックリした…
ナランチャの口に苺を入れると、彼は私の指ごと口に含んだからだ。
「それは良かったわ」
これはよくある事故よね。
ナランチャだし、気にする事なんてないのに私ったら…
「なーなー！！ 生クリームは？ まだできねーの？ 」
「ミキサーが壊れちゃって、今手で混ぜてるからもう少し待ってね」
こんな時にミキサーが壊れちゃうなんて、ついてない。
手だけで混ぜるのは一苦労だ。
けれど、これこそ 作っている って実感はあるのだけれど。
私の横でジッとボールの中の生クリームを見つめているナランチャは、何だか魚を狙っている猫みたいだ。
「ふぅ…これくらいで大丈夫かな。先に味を見てみるから少し待ってね」
「Aが味見しなくても大丈夫だって！ 」
そうは言われても、苺と違って自分で作ったものは先に味を見てから人に食べてもらいたい。
だから私は先に一口生クリームを食べてみた。
甘さ控えめにしてあるけれど、とてもいい感じだ。
これなら誰に食べてもらっても恥ずかしくない。
「ナランチャお待たせ！ はい、あーん…」
「あー……俺やっぱこっちでいいや」
ちゅ
「うん！ 生クリームも旨い！！ A、ごちそーさま。…じゃ、完成楽しみにしてるからな！ 」
そう言って彼はキッチンから去って行った。
顔が離れた瞬間のナランチャの瞳は大人のそれだった。
「……今のは…」
私の口に生クリームが付いていたのだろうということは理解できた。けれど…
「ナランチャも男の子なのよね…そういえば…」
いつもの無邪気な笑顔ではなく、大人の男のような瞳で私を見つめた彼を少しの間意識してしまったのは内緒だ。
Fin
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りんどう(プロフ) - こちらこそ、嬉しいです！ありがとうございます。楽しんでいただけると嬉しいです、 (2019年3月8日 6時) (
レス) id: 33b492f363 (このIDを非表示/違反報告)
haka(プロフ) - お返事ありがとうございました！ずっと探していたのですが、私自身の設定がR非表示の設定になっていた為見つけれませんでしたm(_ _)m今日からまた楽しみが増えました！ありがとうございます！ (2019年3月8日 6時) (レス) id: 2e2192d3ef (このIDを非表示/違反報告)
りんどう(プロフ) - また分からなかったらコメント下さい！ (2019年3月8日 2時) (レス) id: 33b492f363 (このIDを非表示/違反報告)
りんどう(プロフ) - 「この作者の作品を全表示」から見られないでしょうか？面白度評価の下の方にあらます。 (2019年3月8日 2時) (レス) id: 33b492f363 (このIDを非表示/違反報告)
りんどう(プロフ) - コメントありがとうございます！長編はR18がつくのでリンクを貼れなくてすみません。 (2019年3月8日 2時) (レス) id: 33b492f363 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りんどう | 作成日時：2019年1月31日 2時
