エピソード8 ページ12
"……マルセル……?"
ライナーは先程のルーが発した言葉を思い出していた。
「あいつは、確かマルセルに好意を…。なのに、俺はマルセルを助けられなかった…。その上ベルトルトやアニまでっ。帰ってくるのは俺じゃなかっただろ…」
島で自身がした事、過ごした日々、戦士として兵士として生きた5年がライナーの心を蝕んでいた。
ーーーーーーーーーー
部屋を出るとそこには三人の戦士がいた。
「…揃って何を?」
「ピークちゃんが邪魔しちゃダメって入れてくれなくてさぁ」
そう応えたのは獣の巨人の継承者であり戦士長のジーク・イェーガー。
ピークの方へ目線を向けると、彼女の顔には"気を遣ってみました"と書いてあった。
彼女の要らぬ気遣いに、"余計なことはするな"と目で釘を指す。しかしピークには効き目はなさそうだ。
そしてもう一人に視線を変え、眉間に皺を寄せて睨む。
「っんだよ。睨むな」
ルーがポルコを睨む理由は、彼が顎の巨人の力を得てしまったからである。
マルセルの気持ちを汲んで、戦士を目指すのをやめろという忠告を聞かなかった彼には、それからずっと大人気ないが無視をしていた。
ポルコが戦士隊になってしまえばルーとは立場が違う。そのため"朝起こす係"がいなくなってしまう危機にも見舞われ、「これから誰が私を起こすんだ?」とも説得してみたが「コルトにでも頼め!」と突き放されてしまった。
「ライナーの目が覚めた。…ポルコ、服を持って行って」
「なんで俺が。やっと口きいたかと思えば人をこき使いやがって!お前が持ってけよ」
その返答には無視を決め込む。
「ライナーが裸だからじゃない?ポッコ、持って行ってあげれば?」
「…ルー、あんなのお前の朝と大して変わらねぇじゃねーか!」
「何なに、ガリアードは毎朝そんなラッキースケベしてたの?もしかして二人ってそんな関係なの!?…あれ?でもルーちゃんってライナーが好きなんじゃなかった?」
ジークの言葉に同時に反応したのはルーとポルコの2人。
スケベだとか二人の関係性に反応したのではない。"ライナーが好き"だという部分だ。
「なっ!!」
「はぁ!?」
「ガリアード知らなかったの?皆んな知ってると思ってたんだけど…。ねぇ、ピークちゃん」
「知らないのはライナー本人とポルコくらいだと思います」
ジークとピークの会話に、ルーの耳はみるみる赤くなり、"お前アニキが好きなんじゃなかったのか!?"というポルコの驚倒は耳に入らなかった。
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りんどう(プロフ) - アオウサギ様、ありがとうございます。励みになります! (5月16日 1時) (レス) id: 59f64a6e8d (このIDを非表示/違反報告)
アオウサギ(プロフ) - マッジで大好き、、、応援してます!!!更新頑張ってください!!! (5月16日 0時) (レス) id: 8561e7888e (このIDを非表示/違反報告)
りんどう(プロフ) - ぷっちょ様、ありがとうございます。続きもよろしくお願いします。 (2023年3月8日 20時) (レス) id: 59f64a6e8d (このIDを非表示/違反報告)
ぷっちょ(プロフ) - 続き気になります✨ (2023年3月8日 20時) (レス) id: 88ce73b2aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんどう | 作成日時:2023年3月5日 17時