君と私の120日 (ページ9)

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初サボりページ9

「は？」

「さぼろ、たまにはいーでしょ」

「いいわけないでしょ？学生の本分は勉強」

「かったいなー！さぼるのも初めて？」

「普通はサボらないの！」

「彼氏の言うこと聞きなさいよ彼女でしょ」

「何よそれ！」

ふふ、とさっきまでの不機嫌さはなくなったらしい彼はチャイムの音が消えて静かになった廊下目指して、登らなきゃいけない階段を下り始める。

「ねえ、ちょっと待って！」

こんなドキドキを体験したかったわけじゃない。
授業をサボるなんて…！

しかも今日の1時間目は大好きな古典。

昨日だって寝る前に予習して完璧だったのに。

そんな私なんてお構いなしにずんずん先に行ってしまう彼に必死についていくと、どうやら向かっているのは玄関。

気づかなかったけど二宮くんはカバンを持っていた。

…まさか。

「もしかして…学校を出るつもり？」

「サボるってそーゆーことだって」

「ちょ、ちょっと待って！」

さすがに慌てて立ち塞がる。

「だからー、何？」

「私はカバンも教室に置きっぱなしだし早退しますって先生にも伝えてないの！」

「だから？」

「ここで待ってて！」

何なのよこの人！！

あまりにも自分勝手で気分屋な彼に腹を立てながら慌てて来た道を一人で戻る私を可笑しそうに笑う声が聞こえる。

その笑い声から逃げるように古典の授業中の教室に駆け込み、体調が悪いので早退しますと伝えて荷物を抱えた。

そんな嘘ついたこともないしつきたくもなかったけれど仕方ない。

その足で職員室に向かい同じように伝えて玄関に向かう途中でふと足を止めた。

なんで私二宮くんに従ってるの？
そもそも何の話をするために呼び出されたんだっけ？

…そうだ。昨日なぜ何も言わずに帰ったのかと聞かれて答えられず、そのあと変な空気のあとで急にサボろうと言われて…

何か私が失態を犯したことで彼が優位に立っている？

でもだからって私が学校をサボるまでしなくても。

考察しだすと止まらなくなって、踊り場の窓に寄りかかってグラウンドを見下ろした。

2年生が体育の授業でハードル跳びをしている。
ダラダラと隅の方で固まって何もせずに立っている人の群れ。
その中で一人先生を手伝ってせっせとハードルを運んでいる子がいる。

ぼんやりとそれを眺めていると、ふと答えが見えた。