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普段はオフィス内で疲れを見せるどころか寝顔も晒すことのなかった山本が、今は俺の肩に寄りかかりながら無防備にも小さく寝息を立てている。
これが、今の、そしてこれからの山本なのか。
「…なんか、不思議だなお前」
誰に聞かれることもなく消えたひとりごとが何故か虚しくて、そこにある山本の頭を何となく撫でる。それがダメだった。
彼から自分と同じ匂いがするという事実は、違和感と愛憎綯い交ぜの気持ちが疲労した脳みそをぐらつかせる。だめだ。このままでは。
「…っ、ごめん、山本」
「んー……」
「お前は、なにも悪くないから」
…俺の、わがままだったから。
山本の細い肩は簡単に腕に収まる。力なく寄りかかる頭をそっと胸に埋め、背中を手繰り寄せた。
どうにもできなかったやるせない思いと、どうしても焼ききれない感情が渦を巻く。無意識に、心臓が音を立てる。強く、強く、腕に抱く。
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作者名:達者 | 作成日時:2020年11月13日 20時