今日:12 hit、昨日:4 hit、合計:25,996 hit
小|中|大
12 ページ12
「話をするも何も、俺は布団に入っちゃったら眠くなるんだけど」
「じゃあ、伊沢さんの話を聞きたいです」
「…何の話?やっぱクイズ?」
「クイズでも、他の話でも……ほら、恋バナでもいいですよ」
「何、俺の恋バナとか興味あんの」
「僕の知らない伊沢さんのことなら、なんでも知りたいので」
ふいに瞼を伏せたそのとき、彼の長い睫毛はバサっと音を立てるように影をつくる。
「いいけどさ、フェアにしたいから山本もなんか話せよ」
「…えー」
山本にしては珍しいノリの悪い反応にふと思い出す。そういえば、こいつはもうあの『山本祥彰』じゃない。
ということは、これは禁句……
「や…ごめん、」
「確かにフェアじゃないし、いいですよ」
「え」
「今だけ、伊沢さんだけの山本祥彰になろうかな」
伏せていた瞼はいつの間にかばっちりと開いていて、その眼はこちらを射ている。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
29人がお気に入り
29人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:達者 | 作成日時:2020年11月13日 20時