10緋色に想いを殺す。 ページ10
.
君への想いに別れを告げよう。
君のためにたくさん重ねた嘘を、やっと。
殺してあげられるんだ。
.
.
クリスマス。
聖夜の街の恋人たちは。幸せそうに笑って、寄り添っている。
俺は、あいつを駅前に呼び出す。
駅前のベンチに座り、あいつを待つと。
『‥‥どうだった?』
「おう来たか、って、どうしたその目」
『‥‥聞くなばーか』
俺を睨みつけるその目は、赤く腫れていて。
またじわりと滲み出す涙に、俺は慌ててシャツで目元を抑える。
『けんじ、痛い』
「擦んなバカ!!こんなに目ぇ腫らしてどうした‥‥」
その途端、顔を歪めたAに、俺は察した。
‥‥考えれば単純なことだ。
この日に目が腫れるほど泣きじゃくる。
その、理由は。
『振られ、ちゃったぁ‥‥』
『好きな子に、告白するんだってさぁ‥‥』
引きつった笑顔でぽろぽろと涙をこぼす。
俺は思わず、Aを抱き寄せた。
『‥‥いきなり、なに。離して』
「‥‥いいから」
『離せって‥‥!』
「嫌だ」
『あんたにそんなことされんのが嫌だって言ってんの!!
そんなのも分かんないの!?どっか行ってよ!!』
俺の胸板を、拳で思い切り叩く。
俺は、その言葉に思わず腕を緩めた。
Aは俺の腕から抜け出すと、ぱたぱたと涙を溢しながら、俺を鋭く睨みつけた。
『嫌い、あんたなんて嫌い。
いつまでも幼なじみ面するところも嫌い。
他人にいい顔するあんたも嫌い。
いっつも他の女の子に囲まれてヘラヘラしてるあんたが嫌い。
嘘ばっかつくあんたが嫌い。
____だけど、一番嫌いなのは‥‥!!』
____なぁ、A。
俺今、すっげぇ心が痛えよ。
お前が叫ぶ言葉ひとつひとつが、ナイフみたいに俺の心に刺さってんだ。
でも、なんでだろうな。
それが全部、お前からだと思ったら。
その痛みすら、愛しいと思えるんだよ。
.
ゆっくりと口を開くA。
俺は、その言葉を受け止めようと、目を伏せた。
そして、あいつは。
【ねぇ僕の愛しい人】
【君のすべてを僕に聞かせて】
.
43人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ホノ☆(プロフ) - みぃちゃん,mさん» ありがとうございます!!そう言っていただけてすごく嬉しいです!! (2017年7月31日 21時) (レス) id: b619beff59 (このIDを非表示/違反報告)
みぃちゃん,m - にろにー、本当にカッコイイです!完結おめでとうございます! (2017年7月31日 21時) (レス) id: 04aa308079 (このIDを非表示/違反報告)
ホノ☆(プロフ) - 志織さん» ありがとうございます!!こちらこそ、この作品を読んでいただき本当にありがとうございました!! (2017年7月30日 1時) (レス) id: b619beff59 (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - 凄く素敵な表現で、かっこいい二口堅治をありがとうございます…。執筆お疲れ様でした! (2017年7月30日 0時) (レス) id: f90efcc153 (このIDを非表示/違反報告)
ホノ☆(プロフ) - すずめ@あまてらさん» ありがとう!!精一杯頑張るよ!! (2017年7月28日 18時) (レス) id: b619beff59 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ