08真珠色の願い事。 ページ8
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お前がいる世界で生きているということ。
それがとても幸せなんだということを、俺は心から理解していた。
だから、多くを望んだらいけない。
これから先もお前のそばにいるのは俺だけ、なんてワガママは、絶対に叶わないのだから。
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『かーんぱいっ!お疲れ堅治っ!!』
「おーつ」
花の金曜日。
プレミアムフライデー。
まぁとにかく社会人にとって魅力が盛りだくさんの名前が付いているこの日。
俺はAに誘われて居酒屋を訪れていた。
ちなみに、俺は大学卒業後、建築系の会社に就職。
Aは昔からの夢だった建築士の資格を取り、どこかの会社に就職していた。
『それでさぁ、あの上司ね?自分の無いセンス棚に上げて私のせいにすんの。
‥‥いっそあの頭に付いてる飾り毟り取ってやろうかと思ったわ』
「同じ男として言ってやる。止めてやれ」
‥‥まぁ、主にこいつの愚痴だ。
こいつの上司は年配の男らしく、昔からの固定観念が抜けていないらしい。
「‥‥つーか、なんで俺誘ってんだよ。
お前のご自慢の彼氏様はどうした?」
‥‥こいつは、大学の終わり頃に、アッサリと彼氏が出来た。
茶髪の少しチャラい奴。どこがいいのか聞いたらはぐらかされた。
ちなみにその日、俺が大荒れに荒れたのは紛れもなくそのせいだった。
あいつは、不貞腐れてる俺から目をそらすと気まずそうに笑った。
『‥‥別れちゃった』
「は」
『なんかさ、違ったんだよね。付き合ってみたら。
‥‥どっか似てたのになぁ‥‥』
「‥‥?誰とだよ」
『‥‥べーつに。気にすんなって!』
どうやら、こいつの中には誰かが居て。
そいつと似た奴がお好みらしい。
どうせそれは、いつまで経っても幼なじみ止まりの俺では無いと。
俺はひとり、自嘲してみたりして。
【報われない。想ってもらえない】
【それでも君の1番になりたいなんて】
【なんて無謀な僕の願い事】
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09紫苑の香りに別れを告げる。→←07漆黒の闇に心を堕とす。
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ホノ☆(プロフ) - みぃちゃん,mさん» ありがとうございます!!そう言っていただけてすごく嬉しいです!! (2017年7月31日 21時) (レス) id: b619beff59 (このIDを非表示/違反報告)
みぃちゃん,m - にろにー、本当にカッコイイです!完結おめでとうございます! (2017年7月31日 21時) (レス) id: 04aa308079 (このIDを非表示/違反報告)
ホノ☆(プロフ) - 志織さん» ありがとうございます!!こちらこそ、この作品を読んでいただき本当にありがとうございました!! (2017年7月30日 1時) (レス) id: b619beff59 (このIDを非表示/違反報告)
志織(プロフ) - 凄く素敵な表現で、かっこいい二口堅治をありがとうございます…。執筆お疲れ様でした! (2017年7月30日 0時) (レス) id: f90efcc153 (このIDを非表示/違反報告)
ホノ☆(プロフ) - すずめ@あまてらさん» ありがとう!!精一杯頑張るよ!! (2017年7月28日 18時) (レス) id: b619beff59 (このIDを非表示/違反報告)
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