君色の世界【二口堅治】

０２胸を焦がした桜色。 ページ2

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‥‥だけど、お前は言った。









『だいおーじょーだったねぇ。おばあちゃん』

「‥‥は？」

『あ、知らない？ながーく生きた人を、だいおーじょーって言うんだって。

おばあちゃん、よく頑張ったよねぇ』









それでも、どこか泣きそうに言うその顔に、俺は何故か笑いたくなった。

無神経なその言葉が、逆に俺を救ってくれた。









『私ね、君のおばあちゃんのこと、大好きだったよ。

前に転んだとき、優しく手当てしてくれたもん。

だから、私は決めたの』









『おばあちゃんがいなくなっちゃうときは、おばあちゃんが心配しないように、笑ってるんだって』









‥‥あぁ。そっか、お前も俺と同じなんだな。

俺と同じ気持ちで、ばあちゃんを送ってくれてるんだな。









「‥‥お前、名前なんていうんだよ」

『私？私の名前はねぇ‥‥』









お前は、透きとおった群青色の瞳を目一杯に見開いて、嬉しそうに俺の手をとった。

その吸い込まれるような、その瞳に。








甘く、ふにゃりとしたその笑顔に。









『星川Aだよ、けんじくん！』









お前を構成する全てに、俺は。









【その想いを、ひとはなんと呼ぶ？】

【それを僕はきっと、心のどこかで知っていた】




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