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06君の隣に僕はいない ページ7

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「あいつが提出した書類の中に、あいつの遺言書らしきものを見つけた」



「頼む、止めてくれ。あいつを止めてくれ」



「これ以上、俺から誰かを奪って行くのはやめてくれ‥‥!」









そう言って泣き崩れた降谷の声を頭の片隅に残しながら、赤井はAを探して走り続ける。

どこだ、どこだ。彼女はどこにいる。







孤独にひとり死んでゆく彼女は、どこで最期を迎える?









俺は、必死でこれまでの日々を思い出す。

彼女が溢した言葉を少しでも。

記憶に引っかかるのは、確か。









「‥‥踏切か!!」









いつか、彼女が溢した理想の死に方。

人目につかず、なおかつ一瞬で死ねるのは。





赤井は、駆け出す。

まだ、なにも言えていない。

彼女に、なにも伝えられていない。









あんなに寂しそうに笑う女を。

どうして俺はひとりにできたのだろうか。





隣にいない現実を目にして。

どうして俺は仕方がないと割り切ってしまったのだろうか。









「‥‥頼む、A‥‥!」









俺たちの前から、消えてくれるな。









前方に、見慣れた愛しい女の姿を捉える。

その先に、あるのは。









「Aッ‥‥!!」









無情にも、迫ってくる電車と耳障りな音をたてる踏切。

彼女は、赤井に背を向けたまま、踏切に向かって歩き出した________。









【精一杯に、腕を伸ばした】

【それでも君には、なにも届かない】





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リエ(プロフ) - どうしようめちゃくちゃ好き無理大好き、設定も表現もストーリーも最高ですほんっとにマジで (2021年6月14日 21時) (レス) id: 470bfeaa7b (このIDを非表示/違反報告)
宿敵さん - 読み終わった時美しい話だと思いました!!とっても素敵でした!! (2018年2月12日 21時) (レス) id: 82f14ce098 (このIDを非表示/違反報告)
ムスメ2(プロフ) - すごい面白いです (2017年7月1日 13時) (レス) id: bc72a95a3a (このIDを非表示/違反報告)
ホノ☆(プロフ) - ロムさん» ありがとうございます!!その一言がたまらなく嬉しいものです(*^^*) (2017年6月30日 16時) (レス) id: b619beff59 (このIDを非表示/違反報告)
ロム - おおっ!いい作品見つけたぞ〜!ってパソコンの前で言ってしまった私。もはや変人 (2017年6月30日 16時) (レス) id: 693a45f20e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ホノ☆ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年6月25日 9時

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