夜明けの唄【赤井秀一】

０５迎えに来てよMy darling ページ6

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目覚めるとそこに彼女の姿はなかった。

冷え切った隣の温度を確かめて、息を吐く。

まだ薄暗い時間帯の中、もうここから出てしまったらしい。









‥‥初めてだった。

あんなに誰かを想って抱いたのは。



切なげに手を伸ばす彼女の指と指を絡めて。

狂おしいほどに愛しい熱を分かち合う。








心の底から愛する人を、彼は初めて抱いたのだ。









「‥‥さいごまで」









そう、さいごまで。

彼女は赤井の名を呼ばなかった。





赤井を通して、別の男を想って。

その名を呼ぶまいと、唇を噛み締めて。






そんな彼女が愛おしいと思った。

なにを言っても、なにをしても。

ただ１人を想う彼女を、堪らなく愛していた。









「‥‥A」









その代わり、彼は何度もその名を呼んだ。

最中、何度も求めるように空中を彷徨う手を握って。







お前はここにいるのだと。

俺がそばにいるのだと。







言い聞かせるように、何度も。









‥‥プルルルル、プルルルル









ちょうどそのとき、電話が鳴った。

Aか、と画面を覗いて、【降谷】の文字を見て落胆する。

スワイプして、着信を取り、降谷の声に耳をすます。









そうして彼は。









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「＿＿＿＿＿＿＿＿は」









＿＿＿＿＿ゆっくりと、携帯を取り落としたのだ。









【愛する君はどこへゆく】

【君の溢した〈さいご〉の意味は？】





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