02紫煙くゆらせ君想う ページ3
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現場検証のため、赤井の赤いマスタングに乗り込むA。
シートベルトを締めると、どこか投げやりに赤井に向き直る。
『貴方、喫煙者だったよね。‥‥煙草、いい?』
「構わんが‥‥」
『ありがと』
そう言うと、胸ポケットから煙草を一本取り出す。
目を伏せながら、ゆっくりと吐き出した煙の匂いは、どう考えても男が好むものだった。
『‥‥なに。女が煙草吸うのは珍しい?』
「いや‥‥俺が驚いたのは煙草の銘柄だ‥‥。
そのタイプ、女は好まんと思っていたからな」
『‥‥私だって嫌い。こんなにっがい煙草』
じゃあ、なぜ。
そう問いかけようと、彼女の顔を見て。
赤井は、息を飲んだ。
『‥‥こうしてると、アイツがいる気がするの。
あいつのそばに、いるような、‥‥安心、する』
置いていかれた女の戯言だから、気にしないで。
そう言って、笑った顔は、切なげに揺れていた。
赤井は、それを見て、思わず。
「‥‥そんな顔をするな」
『‥‥!』
軽く、頭を肩に抱き寄せた。
驚く彼女に、赤井は前を見たまま優しく撫でてやる。
「君の過去を俺は知らない。
‥‥だが、君にその顔は似合わない」
そう言うと、Aは黙って肩を押し返した。
そして、また煙を吐き出すと、黙って外を見つめてた。
『‥‥ねぇ、貴方ならどんな最期を選ぶ?』
「‥‥」
『私なら、一瞬がいい。そうすれば、すぐに』
私は楽に、なれるでしょ?
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【君の心は、誰のもの?】
【なにも、知らないくせに】
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リエ(プロフ) - どうしようめちゃくちゃ好き無理大好き、設定も表現もストーリーも最高ですほんっとにマジで (2021年6月14日 21時) (レス) id: 470bfeaa7b (このIDを非表示/違反報告)
宿敵さん - 読み終わった時美しい話だと思いました!!とっても素敵でした!! (2018年2月12日 21時) (レス) id: 82f14ce098 (このIDを非表示/違反報告)
ムスメ2(プロフ) - すごい面白いです (2017年7月1日 13時) (レス) id: bc72a95a3a (このIDを非表示/違反報告)
ホノ☆(プロフ) - ロムさん» ありがとうございます!!その一言がたまらなく嬉しいものです(*^^*) (2017年6月30日 16時) (レス) id: b619beff59 (このIDを非表示/違反報告)
ロム - おおっ!いい作品見つけたぞ〜!ってパソコンの前で言ってしまった私。もはや変人 (2017年6月30日 16時) (レス) id: 693a45f20e (このIDを非表示/違反報告)
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