夜明けの唄【赤井秀一】

Prologue ページ1

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＿＿＿＿＿＿この世から、消えようと思っていた。

かつて愛した女の仇を討って、存在理由を失って。









あの日のまま、凍り付いてしまった心を。

どこまでも優しかった、彼女の温もりで癒して欲しかった。









緩慢な動きで、拳銃をこめかみに当てる。

未練なんて、なかった。

俺は、その引き金を引きかけて＿＿＿＿＿＿＿＿。









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目の前の光景に、目を見開いた。





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＿＿＿＿目の前には、１人の女がいた。

誰もいない、俺たち２人だけが存在するその場所で。

高く結いあげた髪をなびかせながら。









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彼女は、泣いていた。









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昇る朝日を見つめながら。

どこか嬉しそうに微笑んで。




その涙は、どこまでも美しかった。

凛と立つ姿に心を奪われた。









彼女が泣いている理由すら、俺には想像もつかない。

それでも、涙を溢して笑う、彼女は。









＿＿＿＿夜明けのような、美しさだった。









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いつの間にか、俺が握っていたはずの拳銃は。

乾いた音を立てて、足元で転がっていた。









【確かにあのとき僕は】

【君に恋をして、救われたんだ】





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