55話 ページ6
手から伝わる体温はやけに高く、自分の手より遥かに大きい
レ「私も海賊なんだ…腹の底から飢えたまま、獲物を逃がせるほどお人好しじゃない」
貴「そんなことを言われても、今の私には差し上げる物が何もありません」
するとレイリーは、Aの頬を優しく撫でた
レ「…今すぐっていうわけじゃない、別れの時にまでに考えてくれ」
貴「…レイリーさんはなぜ、私をそこまで…」
ずっと疑問だった
出会ったのも偶然で、この関係も偶然だ
お互いに知らないことの方が多い上で、なぜ海兵の私を…
レ「なぜかって？…フフ、私もわからないさ…全部君のせいにしてしまいたい」
貴「え、私！？」
グッと手を引かれ、更にレイリーの気配が近く感じる
レ「年下の娘にこんなふうになっている自分や、若者の将来を捻じ曲げようと真剣になっている自分…願わくば共に海を渡って欲しいと思っている自分を……全て、私の心を奪った君のせいにしてしまいたい」
息が止まりそうだった
続けて告げられる言葉に頭が追いつかないが、それでも引く様子のないレイリーに自分が流されそうになっていることはわかった
Aは今ほど目隠しをしていてよかったと思うことは無いだろう
視界を封じて以降、見ることの無かったレイリーの姿をよく覚えていた
妙に感じる大人の色気のようなものを纏うこの男に、今まさに正面からこんな口説き文句を言われて仕舞えば、男性経験ゼロの私には荷が重すぎる為だ
貴「か、揶揄わないでくださいっ…」
レ「本気さ、これが一目惚れというやつかな？」
貴「知りませんっ！早く食べましょう！！」
無理やりに掴まれていた手を引っ込めて、少し距離を置いてから魚にかぶり付いた
これ以上変な空気にされてはたまったもんじゃない
レ「……アッハッハッハッハ！」
貴「…何がおかしいんですか」
レ「いやなに、君が私よりも緊張しているのが可愛らしくてついね」
そう言ってレイリーも魚を口に運ぶ
レイリーの言葉にカァッと顔が熱くなったが、誤魔化すように魚を頬張るしか無かった
貴「………レイリーさん」
レ「なんだい？」
貴「…渡す物、ちゃんと考えておきます」
どこまでも真面目なAの反応に、レイリーはまた笑うのだった
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アンコ(プロフ) - おもろすぎるだろ (5月1日 0時) (
レス) @page12 id: c83f1d8e6a (このIDを非表示/違反報告)
るるぶ - もぅ更新しない感じですか？いつでもいいので更新楽しみにしています！続きがすごく気になります (3月26日 20時) (レス) @page12 id: 93f171a8d6 (このIDを非表示/違反報告)
リンリ - めちゃくちゃ面白いです😆レイリーさんカッコいいです！ 更新楽しみにしてます🎵 (10月22日 9時) (レス) @page12 id: 97f09e59d6 (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - いつでもいいので更新待ってます！この作品が好きです！ (2023年3月31日 1時) (レス) id: cae0d8d8c8 (このIDを非表示/違反報告)
みんちょこ(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです！更新頑張ってください！！！ (2022年12月24日 8時) (レス) @page12 id: 287db42d35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きぐっち | 作成日時：2022年6月22日 14時
