61話 ページ12
人が、人が死んだ…
目の前で…あの人の手によって…
貴「はぁっはぁっ…どうしよ、私、はぁっ」
呼吸と体が合わず足が思うように動かない、腕を振るのが痛くて辛い
でも、それでも、この痛みがどうでもいいくらい
あの男が怖い
ガラッ
山の脆い土はAの足を奪い、体が倒れる前に慌てて受身を取る
貴「ぐぁっ」
痛めた腕で庇ったのが悪かった、数人を相手にした体はボロボロで、走り続けた足にはもう力が入らない
麻痺した腕は体を起こすこともできず、他人のもののように感じた
Aはなんとか息を殺し、小さく蹲った
どうかこのまま見つからないように
ガサ…ガサ…
遠くから聞こえる茂みの音は、きっとレイリーのものだろう
どれだけ気配を消しても、どれだけ息を殺しても、彼の足音は真っ直ぐこちらに向かってくる
レ「…気配を察することは出来ても、消すのはまだまだだな」
彼の声にギュッと目を閉じる、ガサリと茂みを掻き分けられ、木漏れ日が瞼を撫でた
レ「……まるで童話のようだな」
頬を撫でられ、震える肩を優しく摩る
レ「キスをすれば…君は起きてくれるのか？」
この優しい手が、ついさっき人を殺した
貴「っ、ゔぇっ」
血が溢れるあの瞬間が、人が人型じゃなくなるあの瞬間が、頭に浮かぶ人の死に目に耐えられずAは嘔吐した
レ「可哀想に…苦しいだろう」
Aが吐き終えるまで寄り添い、茂みから抱き上げた
レ「口を濯ごう、服も泥だらけだ…川まで戻ろう」
放心状態のAに、レイリーは手で川の水を掬ってやる
口元へ運んでも、Aの反応は見られない
レ「……悪く思うな」
貴「…っ、ゔっ…」
無理やり口に押し込めば、ようやくAは反応した
レ「…今日のことはきっと、君の中でずっと残るだろう…だがトラウマになる前に知っておいた方がいい」
貴「………」
レ「君は海兵だ、人の死に目を避ける方が難しい」
そうだ、その通りだ
でもまだ私にはその覚悟が出来ていない、それなのにあんな…
貴「…ぅ…っ！！？」
考えるだけで込み上げてくる胃酸を、レイリーの手によって塞がれた
そのまま押し倒され、四肢の自由を奪われる
恐怖で見れなかった男の顔が、Aを真っ直ぐ見ていた
レ「…私が怖いか？…A」
続く (更新停止中)
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アンコ(プロフ) - おもろすぎるだろ (5月1日 0時) (
レス) @page12 id: c83f1d8e6a (このIDを非表示/違反報告)
るるぶ - もぅ更新しない感じですか？いつでもいいので更新楽しみにしています！続きがすごく気になります (3月26日 20時) (レス) @page12 id: 93f171a8d6 (このIDを非表示/違反報告)
リンリ - めちゃくちゃ面白いです😆レイリーさんカッコいいです！ 更新楽しみにしてます🎵 (10月22日 9時) (レス) @page12 id: 97f09e59d6 (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - いつでもいいので更新待ってます！この作品が好きです！ (2023年3月31日 1時) (レス) id: cae0d8d8c8 (このIDを非表示/違反報告)
みんちょこ(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです！更新頑張ってください！！！ (2022年12月24日 8時) (レス) @page12 id: 287db42d35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きぐっち | 作成日時：2022年6月22日 14時
