50話 ページ1
事は一瞬だった
ザリッ
わざと足を踏み込んで見せると、気配越しに見える獣はそれを合図に飛び込んできた
貴「っ！」
Aはすぐに空いている腕を前に掲げて、獣を腕の方へ誘導させる
手頃な位置にある腕へ流れるように牙を剥いた獣めがけて、Aは持っていた手のひらより大きい石を全力で相手の口に放り込んだ
突然口の中に入った異物に獣は驚き、前足は狩ることよりも着地に移行し、その隙を狙ってAは獣の頭を抱えて膝蹴りを入れた
ガツンッ！！
獣は膝蹴りと口に含まれた石に顎を砕かれ悲鳴を上げた
貴「グッ」
だが蹴りが入ったとは言え、それはAにもダメージがあった
左膝が麻痺したような感覚になり、力が入らぬまま川の方は崩れ落ちた
貴「痛…ハッ！！」
痛みで集中力が途切れ、先ほどまでのビジョンが消えて、獣の姿が認識できなくなった
ヤバイっ…殺されるっ！！
噛まれる前にと両腕を前に構えてたが、想像していた衝撃はやってこなかった
貴「……？」
クゥ…グゥッ…
先ほどまでの威勢は消え、ジャリジャリと遠ざかっていく足音
貴「……に、逃げたのか？」
Aは何とか川から這いずるように上がっていくと、ジワジワと広がる痛みに悶えた
貴「ゔぁ…ヤバイ、立てないってコレ」
それもそうだ、獣の骨を砕いておいてこっちの骨が無事なわけがない、むしろこの怪我だけで済んだのが奇跡だ
事態をポジティブに受け止めても、動けないことに変わりはない
もしまた別の獣が来れば間違いなく私は何の抵抗も出来ず死んでしまうだろう
だが不覚にも、この状況から助かる可能性のある方法にAは気づいていた
リーチ内程度にしか察知できなかった気配が、獣に襲われた時に辺り一体まで広がった時
もう意識せずとも察知できるようになった慣れ親しんだ気配が、近くで呑気に釣りをしているのがわかったからだ
貴「レイリーさん！そこにいますよね！！もう動けそうにないので助けてください！」
レ「ハッハッハ、とうとう気付かれたか」
この海賊、本当に意地が悪い
レ「相打ちと言ったところだが、君にしては良くやったんじゃないか？」
そう言ってレイリーはAを抱え、更に下流の方へ移動していく
動けない身ではあるが、悔しい事にもうすっかりこの男に振り回されるのに慣れて来始めている自分が悔しかった
貴「…いつからいたんですか？」
レ「君が来る前からさ」
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アンコ(プロフ) - おもろすぎるだろ (11時間前) (
レス) @page12 id: c83f1d8e6a (このIDを非表示/違反報告)
るるぶ - もぅ更新しない感じですか？いつでもいいので更新楽しみにしています！続きがすごく気になります (3月26日 20時) (レス) @page12 id: 93f171a8d6 (このIDを非表示/違反報告)
リンリ - めちゃくちゃ面白いです😆レイリーさんカッコいいです！ 更新楽しみにしてます🎵 (10月22日 9時) (レス) @page12 id: 97f09e59d6 (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - いつでもいいので更新待ってます！この作品が好きです！ (2023年3月31日 1時) (レス) id: cae0d8d8c8 (このIDを非表示/違反報告)
みんちょこ(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです！更新頑張ってください！！！ (2022年12月24日 8時) (レス) @page12 id: 287db42d35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きぐっち | 作成日時：2022年6月22日 14時
