【最終兵器俺達】涙色の空の下で君と出逢った僕は。【ヒラ】 (ページ20)

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▼第二十話△ ページ20

レトさんの実況にみんなが笑う。

結果として順位が変わることはなく、フジはびりっけつ。

それでついに来てしまった自分の番。

《第五レースいくで。第一コーナー 1組伊藤祐也。第二コーナー 3組平沢和人第三コーナー 5組松下莉緒第四コーナー 7組鈴野柚稀》

「レトさんちょっと疲れてるでしょ!?」

《疲れたわ!!》

ユキとレトさんの掛け合いに笑いが起こる。
このレースだけ男女混合のため、女子は少し前からスタートだ。

《さて、このレースだけあたりが二つあるねん。…なんでやろな。俺もよーわからへん。あたりを引いたのはこのふたりや!!
…鈴野と平沢!!ﾌﾟﾌﾟﾌﾟｶﾜｲｿｰ
1位は松下、2位は鈴野、3位は平沢、4位は伊藤。おだいは1位から順にいうで。
【婦女子の餌】、【仲直りしたい人】、【好きな人】、【命に変えても大切なもの】…どれも当たりな気がするんは俺だけか…???》

レトさんに激しく同意。

え、このタイミングで【好きな人】っていうお題来ます???

ユキはといえば、ちらりとキヨの方を見て動き出そうか迷っている模様。

ビリだったはずの歌詞さんは既にお題のものを取りに行くために校舎へと走り始めていた。

松下さんは既にゴールしてる。

つまり俺らは、注目の的。

「…ユキっ!!!!!!!」

「…え???」

「…俺も、ちゃんとAちゃんの所行くから、ユキもキヨんとこ行ってやれよ」

ユキはしっかりと頷くと、こーすけとともに俺らを見ているキヨの元へと走り出した。

俺も俺で、天月さんとこちらを見ているAちゃんの元に走っていく。

『か、ずとく…』

「一緒に…っ…来てくれますか!?」

『だ、だって。カズトくんのお題…』

言いにくそうに淀む彼女の目を見つめ、はっきりと告げた。

「【好きな人】だよ。だから、Aちゃんに来て欲しい。俺は、Aちゃんが好きだから」

そう彼女に向かって放った声は、周りを静かにさせた。

「Aー!!信じてやれよ!!」

「ほらー!私の言ったとおりじ…ﾝｸﾞ!?」

「羅央うるさい!!A!ショタのいうことが聞けないっていうの!?」

『いや、つきちゃんもるーちゃんも、うづちゃんもうるさいし…一緒に行くよ。でも、聞きたいことは沢山あるの。後でちゃんと話してね』

彼女の友達だろうか。
3人の女子の声に、Aちゃんは照れたような顔で、3人の方をきっと睨んだ。

それから俺の方を向いて、俺の差し出したてをとって、笑いかけてくれた。