01.雪が降る夜に ページ2
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アイツと出会ったのは、俺が小学生の頃。
あの頃の俺は、毎日が息苦しかった。
学校では馬鹿の一つ覚えのように協調性協調性とそれの繰り返し。
団体で居ることを強いられ、その同調圧力みたいなものが苦手だった。
家では、居ないも同然のような扱いを受けて、ご飯すら無い日もざらにあった。
学校でも家でも窮屈だった俺のたった一つの安らげる場所は
”人の来ない草むらだらけの廃れた公園”
授業が終わるなり毎日この公園に来ては、夜まで時間を潰す。
雨の降る日は遊具の中で雨を凌ぎ、寒い日はひたすら手の平に自分の息を吹きかけた。
そんなことをしてても、家に帰るよりは何倍もマシだった。
俺の家庭は、傍から見れば普通の家庭。父と母が居て、長男の武臣、オレ、妹の千咒の5人家族。
一つ難を上げるとすれば、両親は”女の子”が生まれることを切望したということだ。
長男の武臣に続き、また男の俺が生まれたときには心底失望したらしい。
そして、小学校に上がる頃には両親は俺に「髪を伸ばせ」と命令してきた。
誰がするかそんなの。俺は女じゃない。男だ。
親の命令から真っ向から逆らった俺と武臣は、暴力やネグレクトといった虐待を受けた。
武臣の目の傷も、俺の口の傷も、全部親に付けられたものだ。
可愛がられていたのは、妹の千咒だけ。
そんな毎日の中、アイツと出会った。
雪が降りしきる真冬の日。マフラーをしてても凍えるような寒さの中、俺は今日も今日とて公園で時間を潰していた。
…今日は、まだ帰りたくないな。
数日前に付けられたばかりの口元の傷を触りながら、ランドセルを背負って夜道をフラフラと歩く。
だんだんと家に近くなるいつもの道を見るのが嫌で、少し遠回りをして帰ろうと知らない道へ足を向けた。
空から降る雪が幻想的で、見上げながら知らない道を進む。
もういっそこのままどこか自分の知らない世界に行けてしまえたらいいのに。
そんなことを考えながらトボトボ歩いていると、とある一軒家からご飯の良い匂いが漂ってきた。
明かりがついた部屋からは楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
…こんな世界、俺は知らない。きっと経験しない世界だ。俺には関係無い。
見なかったことにして通り過ぎようとしたとき、その家のベランダからふいに人の気配を感じた。
なんとなくそこへ視線を向けると、そこに居た人物を見て俺は立ち止った。
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りお - とっても刺さる素敵な作品でした(;o;)春千夜にも夢主にもガンダーラで幸せになってもらいたいと思いましたT^T (2021年10月31日 1時) (レス) @page17 id: fffe7db0be (このIDを非表示/違反報告)
れいん(プロフ) - 寝る前に読んでみたら 一つ一つの言葉が凄く刺さって 涙出ました (2021年10月31日 0時) (レス) @page16 id: 817f921072 (このIDを非表示/違反報告)
Ibibubu(プロフ) - 本当に作者様の書いた作品が凄く好きで、素敵な作品をありがとうございます (2021年10月29日 23時) (レス) @page18 id: 9aefec9a34 (このIDを非表示/違反報告)
りぃ - すごいな、これ… (2021年10月29日 1時) (レス) @page18 id: 0e789b8f74 (このIDを非表示/違反報告)
不夜城・レイス(プロフ) - 一行一行が凄い感動しました(泣) これからも応援してます! (2021年10月28日 19時) (レス) @page12 id: 23f9dcf647 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:平 | 作成日時:2021年10月24日 21時