待つ…清水潔子 ページ1
英単語帳をぱらぱらとめくる
何度も見た、覚えてしまった単語がいくつも並んでいる
単語帳を閉じ、ふぅ、とため息をついた
「…きよちゃん、遅いなあ」
体育館の中からはまだ練習をしている音が聞こえてくる
いつも一緒に帰っている清水潔子は男子バレーボール部のマネージャーをしている
バレー部は今夏の大会に向けての練習で、日に日に帰宅時間が遅くなっているように感じる
普段なら自分も自主練をしながら待っていられるのだが、今日は顧問の都合で練習がいつもより早く終わってしまったのだ
再び単語帳に視線を落とす
「京!遅くなってごめん、帰ろ」
その声に顔を上げると、清水潔子が立っていた
「きよちゃん!お疲れ様〜!」
「「潔子さん、お疲れ様です!」」
「お疲れ様でした〜」
元気に挨拶をする男の子たちに軽く会釈をしてから、二人で歩き出す
「京、結構待ったでしょ?先帰っててくれても良かったのに…」
潔子は申し訳なさそうにそう言うが、
「なんで〜?うちが待ちたくて待ってただけやもん!」
三年生になってクラスが離れてしまった今、潔子と話せるタイミングは登下校の時だけなのだ
来年になればいやでも会える時間が減ってしまうんだから、この時間を大切にしていたい
それに、
「…ほんと?嬉しい。京と話せるの、この時間ぐらいだもんね」
この笑顔を独占できるなら、何時間だって待つのも苦ではない
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作者名:いづも | 作成日時:2021年9月19日 16時