またね______…… ページ29
チリーン…チリーン……
嫌な目覚まし時計だ
そう思いながら痛む身体を起こす
部屋は昨日の私の血がまだべっとりと着き残っていた
「外へでろ」
今日もまた始まる
痛い一日……が…
え?今、なんて……
「出ろっつってんのが聞こえねーのか」
気のせいじゃない
確かにここから出ろって言った
私は身体にムチを打って何とか立ち上がりアイツらの方へ近づいていった
近くなるアイツらの目はやはり汚れた物を見るような目をしていた
ようやく辿り着くと腕を縛られ目隠しをされた
行き先は見せないという事か……
そしてそのまま引きづられ何かの中へ放り込まれバタンと音がする
閉じ込められたようだ
そこからはドアの開く音や閉まる音はしなかった為アイツらは着いてこないようだ
そのままガタガタと揺れだした所で、それが乗り物なのだと気が付いた
誰が乗っているのか、どこへ向かっているのか気になったが、声には出さなかった
余計な事を言ってまた戻る事になるのはごめんだ
チリーン……
もう聞こえるはずのない音が……
聞く事もない音が……
まだ、頭の中で確かに響いていた
まるでまだその音を、アイツらの存在を、忘れる事は許さないとでもいうように……
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結局これで2回目だ
捨てられた
また、捨てられた
でも少しそれには語弊がある
お母さんとお父さんは私を捨てたんじゃない
きっと何か仕方がない理由があったんだ
どんな理由だろうと私は受け入れる
だって2人が大好きだから。
だから……_________
私は目隠しを外そうと膝に顔を押し当てずらそうと試みた
シュルッと案外容易く目隠しは取れた
これで最低限逃げる準備はできた
当たりを見渡す
人はいなかった
多分荷台なのだろう
荷台の入口が開いたらすぐに飛びでようとざっくりとした計画を練りながら何か使える道具がないかと手探りでさが………
え………何で私手が自由に……
「おい、お前何で……」
しまった…!
驚きで乗り物が止まったのに気づかなかった…!
私は考えるのをすぐに止めて、どこなのかも分からない外へと飛び出した
周りを見渡す前に走り出した
後ろで男達の慌てる声と追いかけてくる足音が聞こえる
振り向かなかった
それは今になると少し後悔している
チリーン…
頭の遠く外で、その音は確かに響いていた
今では確かめる術すら残っていなかった
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作者名:*kuro* | 作成日時:2019年6月9日 23時