魔法のツール ページ15
私に優しくしてくれる人がまだいたとは。
Aの胸がキュッとなった。
しかし、同時に恐怖も覚えた。
今からこの人たちと仲良くなってしまえば、失ってしまったときの悲しみはとても大きなものになるだろう。
それに、もう私には人を信じることの出来るような心の余裕はないのだ。
やはり警戒はしてしまう。
銀時「うーん。やっぱまだちょっと警戒されてるよな、俺達。
……うっし。じゃあ、一緒にパフェでも食いに行くか!いーよなー、沖田くん?善良な市民からのお願いだ。サボりにはならねえだろ?」
総悟「善良って部分は気になりやすが、サボりかサボりじゃないかなんて今更気になんてしやせんよ。Aは、まだ食えるか?」
うなずいて、肯定の意を示す。
この人は、誘ってくれたのか。こんな私を。
Aは、自分にわずかだが変化をもたらしてくれた真選組の人達と似た何かを感じた。
新八「そんなこと言って、銀さんがまだ甘いもの食べたいだけなんじゃないんですか!」
銀時に詰め寄る新八。
銀時「いやいやいやいや、ちがうぜえ、ぱっつぁーん。これは、まだ俺たちとうまく話せないAとの親睦を深めるいわば歓迎会みたいなもんだ。断じて、俺が食べたいわけじゃねえ。甘味は、人の心を溶かしてくれる魔法のツールなんだぜ〜!
それに、こいつと食いたいんだよ。皆で食べた方が美味いだろ?」
あながち銀時さんの、『甘味は、人の心を溶かしてくれる魔法のツール』という表現は間違っていないと思う。
実際、私は団子を食べた時に饒舌になった。
相手が総悟さんだったから、というわけではないだろう。
いや、認めない。
新八「いやいやいや、それっぽいこと言わないでくださいよ!」
神楽「私も賛成ネ!クソサドがいるのは気に食わないけど、Aと仲良くなれるなら私いっぱい食べまくるネ!」
新八「お前も銀さんと一緒でただ食いたいだけだろーがー!」
だんだんと騒がしくなってきた。
そんな中、静かな、それでいて意志のある声がそれを制した。
A「行く。」
全−A「「「え?」」」
A以外の4人が全員驚いた顔でAの方を見た。
もう、総悟の隊服にシワを作るものはなかった。
A「一緒に甘いもの食べたい。」
この人たちといて、自分の中のなにかを変えられるかもしれないなら___________。
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作者名:*kuro* | 作成日時:2019年6月9日 23時