メンチカツ【HN】 ページ12
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昼前にAの家に帰る。
玄関を入って声をかけても、返事はかえって来ない。
HN「Aー?ジョンイナー?」
奥のベットが膨らみを保っているのが見える。
…嘘だろ。
無駄に心拍数が上がる。
ただ寝てるだけだろ、そこに何の疚しさがあるんだよ。やめろ、思春期かよ。と自分に言い聞かせる。
近づくと、2人の寝息が聞こえる。目も…閉じている。
良かった、
HN「じゃないよ。全然良くない。起きろイエナ。」
幼なじみと言えども、男と女。相手は人妻だぞ。
ふわふわとした髪の毛が生えた頭を思い切り叩く。
IN「いだ…」
HN「今すぐ布団出ろ。罪悪感で死にたくなければ。」
フィリックスはあまり、Aに近づくことをよく思わないくせに、声には出さない。嫌そうにするだけ。
それが、俺たちの罪悪感を膨らませるだけ膨らませ、自制心を強固にする。
IN「…変に2回寝たから頭痛い」
HN「天罰だよ」
帰りに買ってきた惣菜で、3人分の昼飯を作れば、匂いにつられてAが起きてくる。
HN「おはよう。ねぼすけ」
『ん…帰ってくるの早かったね』
席についていただきます、と丁寧に手を合わせて、食べ始めるA。アイエンは先に食べていたくせに、Aがいただきますと言ったことで、口にご飯を含めながら、いただきますと俺に向かって言った。
HN「一応、2人に言っとくけど、一緒に布団で寝るのはやめましょう。」
『おかあさーん、ジョンイナが無理やり入ってきましたー』
IN「ほんとに嫌なら1回で折れんなよ」
HN「…ジョンイナが悪い。」
『やったー』
ジョンイナが、えー?また俺ー?とふてくされる。なにがどうあれ、布団に入ろうとしたやつが悪い。
HN「Aも、フィリックスと婚約した事をもっと自覚しなさい。」
『ネー、ミアネオンマー、』
はあ、世話が焼ける弟と妹だ、とため息をつく。
一体フィリックスは、俺たちのことをどこまで許してくれるんだろう。いつか追い出される日を危惧して、俺は少し冷めたメンチカツをひと口食べた。
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にこ(プロフ) - 完結おめでとうございます!とても面白かったです🎶 (2023年4月16日 3時) (レス) @page27 id: d0206497b3 (このIDを非表示/違反報告)
にわとりのたまご。(プロフ) - 完結おめでとうございます!すっごい面白くてずっと読んでました。執筆お疲れ様でした。 (2023年4月11日 20時) (レス) @page27 id: 59ab679e40 (このIDを非表示/違反報告)
なの(プロフ) - 完結おめでとうございます。そこにおちる、はそういう結末を示唆していたんですね。全員が楽しそうに過ごせているみたいで心から安心しました。執筆ありがとうございました! (2023年4月11日 18時) (レス) @page27 id: 65273ce06c (このIDを非表示/違反報告)
なの(プロフ) - ジェヒョク…なんでやつだよ…、ピリちゃんと幸せになりますように… (2023年2月23日 11時) (レス) @page18 id: 65273ce06c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みやび | 作成日時:2023年2月1日 23時