あなたの名前は、 【呪術廻戦】

無理はしすぎないように 加茂side ページ8

私が四月朔日と深く関わるようになったのは、とある一件の後からだった。


うち(京都校)の寮には、
男女それぞれの寮に別れる場所があり、そこは共同スペースになっている

夜通しで行った任務も終わり、自室へ向かおうと共同スペースを通ると
見慣れた姿があった

『四月朔日、こんな早朝に何をしている？』

今は朝方の4時
起きるには少々早い時間だ

しばらく待つが返事はなく、不思議に思い彼女に近寄る

『四月朔日？寝ているのか、...！』

驚いた

椅子に座る彼女の前には何冊もの分厚い本があった
それも全て、呪術や術式に関しての物

庵先生に頼めば、呪術関係の書物はある程度なら借りられるから
きっと頼んだのだろう

本の横にはペンケースとノートがあり、本の内容であろう事がまとめられている

人の物を勝手に触るのは気が引けたが、好奇心が勝ってしまい、彼女のノートをめくっていく

元々開かれていたページより前を見ていくと、先程と同様に、
呪力、術式、呪具など、様々な事について詳しくまとめられていた

それは何十といったページに及んでいて、そこでまた驚く

彼女の顔を見ると、目元にはうっすら隈が出来ていた

まさか徹夜で勉強していたのか？


四月朔日は私達1年の中でも東堂同様、1級に匹敵する実力を持つ

体術、術式、知識、センス

どれを取っても、彼女は劣る部分がない

なのに何故一からまた学び直しているのだろうか


ふと、いつかにした四月朔日との会話を思い出す

『四月朔日は、何故呪術師に？』

「探し人がいるから、だよ」

『探し人？』

「そう。
1人ぼっちだった時に寄り添ってくれた恩人で、呪術を教えてくれた師匠でもある人。
と言っても、同じ人かは分かんないけど」

『...もし違う人だったとして、四月朔日は両方探すのか？』

「探すよ。
会ってちゃんと御礼が言いたい、話がしたい
例え向こうにそれを否定されても。」


《だってそれが、私が呪術師になった理由だから》

真っ直ぐと私の目を見て伝える四月朔日は、とても凛々しかった



その探し人を見つける為に、こんなに勉強しているのだろうか


何にせよ、努力をする姿は素晴らしいと思う


「…だが、無理をするのは感心しないな」

共同スペースに置かれているブランケットを寝ている彼女に掛けて

“自分の身体は大事に“とノートに隅に書き残し部屋へ戻る


もしも困った事があるなら、協力してあげるのも悪くない

作者の余談→←純粋に強い奴 東堂side

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す