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可愛い弟 ページ19

私とこの子達が別れたのは、12年前の事

私が6歳で、彼らが5歳だった頃だった


向こうはもしかしたら覚えてないかもしれないし、
もし覚えていても、これだけ会っていないのだから流石に忘れてしまうだろう


でも私は、この子達の事をずっと覚えている



「「お姉ちゃん!」」

おぼつかない足取りでこちらに駆け寄ってくる陽仁と晶晴


「お姉ちゃん病気なの?」

「ママが言ってた」

私の目を真っ直ぐ見てそう言った2人


『…気持ち悪い?』

馬鹿にするのだろうか、母のように邪険にするのだろうか

相手は穢れなんて何一つ知らない純粋な子達だというのに、そう思ってしまった


けど、返ってきた言葉は私が考えていたものとは違くて、


「ううん!全然思わない!」

「ママはなんで意地悪するのかな」


その言葉だけで、少し救われた気がした


病気ではない事が分かり、母に連れられ家を出て行く間際までも、
彼らは私の側を離れなかった

2人に呪霊は見えなかったけれど、私が言う事を信じてくれた

「どんな見た目してるの?」

「なんて言ってるの?」

寧ろ興味津々に話を聞く姿を見て、呪いが見える事が苦にならなくなった

そんな彼らは、私を酷く嫌う母が大嫌いだった


「嫌だー!お姉ちゃんと離れたくないよー!!」

「僕達はお家に残る!!ママ1人で行ってよ!」

家を出て行く時も、
離れたくない、この家に暮らしていたい、母1人で出ていけばいい

そんな事を言って、大泣きしながら玄関にひっついていた



天真爛漫で、嫌な事ははっきり口に出すけど甘えたがりな所もある陽仁

大人しめだけれど負けず嫌いで、陽仁程ではないが動く事が好きだった晶晴




2人とも、ずっと大切な私の弟達だ。





『…呪霊は、』


『陽仁と晶晴を殺した呪霊はどこにいますか』


自分でも驚くような低い声だった

けど、それが気にならない程に私の脳内を埋め尽くしていたのは

殺す


その2文字だった。

「落ち着きなさいA」

私が祓ったからもういないわ、と添える


『そう、ですか』


気が気じゃなかった

2人の死が受け入れられなかった


『すみません、少し頭を冷やしてきます』

「あ、ちょっと」

解剖室を出て、雨が降っている事も気にせず外へ出る


どこを目指す訳でもなくふらふらと歩いていると、いつの間にか高専の外に出ていた


やるせない気持ちをどうにかして消したくて、近くの壁を殴る



頰を伝うものは、涙なのか雨なのか。

弟達の紹介→←無慈悲な再会



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みけねこ亭(プロフ) - ずっと欲しかった花御の夢が遂に……ッ!続き楽しみにしてます!頑張ってください! (2021年8月18日 2時) (レス) id: 45bdd94638 (このIDを非表示/違反報告)
秘穏(プロフ) - ありがとうございます!ストーリーは何度か起きる出来事を考え直したりしているので、そう言っていただけて嬉しいです!これからも更新頑張ります! (2021年3月8日 1時) (レス) id: 3556fea593 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - こういう展開大好きです!これからも頑張ってください! (2021年3月7日 17時) (レス) id: 95df5f81b7 (このIDを非表示/違反報告)
秘穏(プロフ) - 奏さん» ありがとうございます!花御の小説がなかったので、何なら自分で作っちゃえと勢いのままに作ったのでグダグダかもしれませんが...。続き、なるべく早く更新できるよう頑張ります! (2021年3月1日 13時) (レス) id: d65c23cc09 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ウオォ、、、花御の小説やっと見つけたぞ、、、、つ、続きを下さい!楽しみにしています!!!! (2021年2月28日 14時) (レス) id: 7e5fcd0560 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:秘穏 | 作成日時:2021年1月26日 2時

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