あなたの名前は、 【呪術廻戦】

おやすみ ページ15

「Aちゃん？顔色良くないけど、大丈夫？」

それにご飯も全然手付けてないし...と眉を下げて不安そうな顔をする桃

『大丈夫だよ、桃』

心配してくれてありがとう、と付け足す

「ならいいけど…」

正直まだ納得がいってなさそうな顔をしながら、食事に戻った


記憶が戻ってきて暫くした後、
皆を呼んで食卓を囲っている

賑やかな雰囲気の中なら少しは食欲も出て、
気分が軽くなるんじゃないかと思ったけれど…

全くと言っていいほど、食事が喉を通らない

突然流れた記憶と、気付いてはいけなかった気持ち

そして、ずっと探していた人は呪霊だったという事実

衝撃が大きくて、正直ご飯を食べる所の話ではなかった


『ごちそうさま。先に部屋に戻ってるね』

残した食事と、自身が使った食器を片付けるのも忘れて部屋へ戻る


ベッドに飛び込んで横向きに寝転がり、枕に右頬を預ける


彼は呪霊だった。

もし遭遇する事があったら、私は彼を祓わなければいけないのだろうか


私に、出来るだろうか


『きっと、私には無理だなぁ』


呪霊だったとしても、

どれだけの人を手に掛けていようと、

それは私にとっては関係のない事だ


2人で過ごした時間も、愛情も、絆も

___初恋も。

全部、彼という存在に繋がっている



私はきっと、
任務であろうと命令であろうと彼を殺せはしないし、

寧ろ殺そうとする者から守るのだろう


けど、呪霊を守ったなんて知られれば、

私は間違いなく何かしらの罰が下される




『私は、どうすればいいのかな』



未だ名前だけが思い出せない彼の事を考えながら、眠りにつく

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