アリガトウとサヨナラ

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｢ごめんね、いきなり
こんな事言っちゃって…、でもね
私、宏光の事が誰よりも大切なの｣



｢…はい｣



｢情けない話かもしれないけど
宏光に一目惚れして思いを告げた日、
俺にはずっと忘れられない人がいるって
言われちゃったの｣



｢…え？｣



｢それでもいい、私が忘れさせてあげるって
そう言って付き合うことになったの｣



｢…｣



｢宏光の忘れられない人はきっと
Aちゃんのことなの｣



｢そんな…｣



｢やっと私だけに笑いかけてくれることが
多くなってきたのに、本当タイミングって
悪いのよね、あの時何でAちゃんを
家に誘っちゃったんだろうって
何度も後悔した｣



｢…｣




｢お願い、もう宏光と会ったりしないで？
これ以上宏光を苦しませないでほしい｣



｢…っ｣









苦しませないで？
なによ、それ

私だって何度も悩んで必死に忘れようとして
ずっと苦しんできたの

突然別れを告げられて
いなくなったのは、あっちだよ？


私ばっかり責められて…


なんなの？って
言い返したいけど、






目の前にいる桜木先生の表情が
切なくて何も言えなかった









｢もう、宏光と会う気なんてないですし
予定もありません｣



｢…そう｣



｢でも最後に1度だけ会わせてもらっても
いいですか？｣



｢…それは何で？｣



｢きちんと、サヨナラをしたいんです
私もずっと2年間宏光への想いを
引きずってきました、そして今 大切に
したいって思う人が私にもいます｣



｢…うん｣



｢しっかりケジメつけて、
大切な人と向き合えるようにも
ちゃんと終わりにしたいんです｣



｢…分かったわ、Aちゃんのこと信じる｣



｢ありがとうございます｣

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