アリガトウとサヨナラ

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｢Aちゃん、無理しなくていいんだよ。｣



｢あ、大丈夫です。｣









せっかく作ってくれた雑炊

お腹いっぱいで、
気持ちも苦しくて

喉通らない


心配そうに私の顔を除く桜木先生




食べなきゃ。そう思って
無理に口に含む









｢俺、まだ足んねぇから、Aのちょーだい。｣









そう言って、私の器を奪った宏光が
綺麗に私の分まで食べてくれた


気使ってくれたのかな…



変わらないね、少しぶっきらぼうだけど
すごく優しいとこ









｢……宏光、おかわりなら、お鍋にまだあるのに。｣


｢あぁ、わりぃ、それも食う。｣


｢…うん。｣




少しぎこちない空気が流れる

こんな雰囲気にしたかった訳じゃない









｢そういや、A、今日他に

寄るところあったよな。｣



｢…え？…あ、うん。｣







太ちゃんの急なフリに戸惑う

あぁ、きっと
帰る口実を作ってくれたんだ

確かにもうここにいるのは辛いし
この場から離れたい







｢すいません、俺たち先に帰ります。｣



｢え、あ、そう？｣



｢はい、すっごく美味しかったです

誘っていただいてありがとうございます。｣



｢いいのよ。また来てね。｣



｢はい。｣









太ちゃんがぺこって玄関でお辞儀して

私もご馳走様でした。とお礼した





桜木先生の少し後ろにいる宏光が
少し悲しい顔をしてた


なんでそんな顔するの



私の目をじっと見て

私も目を逸らせなかった






宏光は今何を思ってる？





私と、会って

どう思った？






驚いた？

それとも、もうなんとも思わない？




何年ぶりに会おうが、

もう、素敵な彼女さんいるんだもんね






今更何を思うわけでもないよね






私だけだよね

こんなに混乱して
こんなに苦しくなって

今でも宏光のことが大好きなのは。






そうだよね








なのになんでそんな顔で私を見るの？







宏光の私を見る目は




“行くなよ”




そう目で伝えてるような
切ない表情だった

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