子猫と勘違いして人間拾って来てしまった水柱さんの話。

十匹 ページ10

「ぎゆー、行かないで、行かないで！！」

足にくっ付いて離れないA。


可愛い。


「チビ助、冨岡は任務なんだァ、我慢しろォ」

連れて行きたい。



今日から三日間、任務で遠くに行く事になり、Aを胡蝶に任せようと思ったが、胡蝶に完全にAを蝶屋敷に取られてしまいそうだった為、一日目は不死川、二日、三日を甘露寺に任せる事にした。
正直不死川には頼みたくはなかったが、甘露寺に三日間頼むとなると、伊黒に殺されるので辞めた。



「ぎゆー、行っちゃやだ！ぎゆー！！」
「行こう、A」
「何言ってんだァ冨岡！！」


可愛い。


「ムフフ…」
「ぎゆー、おいてかないで！！」



俺は密かにこの状況を楽しんでいる。



「A、冨岡から離れたら、俺が特製ぱんけーきとやらを作ってやらァ」
「え？ほんとう？」
「あァ、本当だァ」

Aは目を輝かせ、俺の足から離れた。

「A……！！」


俺はぱんけーきとやらに負けた。


「ぎゆー！いってらっしゃい！」


Aはご機嫌で俺を見送った。


……俺はぱんけーきとやらに負けた。






＊＊＊


三日間、正直キツい。
鬼を狩る事ではなく、Aに会うことが出来ないからだ。

もしかしたら、不死川にあのAを見られているかもしれない。
お風呂は胡蝶に頼みはしたが、どうだろうか。

不死川がAに惚れはしないだろうが……きっと、不死川弟のこともあるし、だが万が一惚れでもしたら…！！


「…」


落ち着け。
俺はぱんけーきとやらに負けたが、不死川には負ける気はしない。


「ムフフ…」

大丈夫だ。
何も問題は無い。





「ねぇ、あの人なんか一人で笑ってる！」
「しっ！！見ちゃダメっ！！」

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