子猫と勘違いして人間拾って来てしまった水柱さんの話。

人間 ページ26

※ちょい甘




私は拾われた。
助けてもらった。



この変な体質が嫌いだった。






だけど、






「A」






彼と出会えた。
この体質のおかげで。




彼は群青色の綺麗な瞳、女性のような美しい顔立ちをしていて。

最初は少し怖かった。だけど本当の彼は

天然で、おっちょこちょいで、目が離せない人だった。



いつも口の周りに沢山ご飯粒をつけて。
それに気付いてなくて、平然と喋って、そのまま外行こうとするし。


何もない所で転けたりもしていた。


そんな彼にいつの間にか、気が付いたら、彼が居ないと安心できなくて。
任務に行っている間とか、ずっとソワソワしてしまって。





彼が帰ってきたら嬉しくて舞い上がってしまって。





「義勇さん…よく寝てますね……」



優しく髪を撫でる。
堪らなく愛おしかった。





涼しい風が私の髪を揺らす。
義勇さんの前髪を優しく風は持ち上げる。



「おでこ、可愛い」



つんつんとつついていたら、手を掴まれて視界が逆転する。




群青色の綺麗な瞳。


宝石みたい。





「……ふり、だったら？」
「え？」
「寝たフリ……だったら？」




先程まで彼は寝たフリをしていたの？
全く気づかなかった！！




「寝たフリだったんですか？」


そう聞けば素直に頷く義勇さん。


「おでこ可愛いって言っちゃったの、バレちゃいましたか」
「あぁ」



会話が途切れシーンとしてしまう。



「このまま寝たフリをしていたら……してくれたか？」
「え？」
「口付け」




そっと唇をなぞられて、私は群青色の瞳から目が離せなくなる。



「く、ち、づけ……？」
「あぁ、口付け」
「…」


寝ていたらしていただろうか。


「……でも、もう起きてしまっているので」
「して欲しい」



何度も唇を親指のはらでなぞられる。




「わ、わかりました…！なので、親指でなぞるのやめてください！なんかゾワゾワします！！」
「…？」



無意識でやっていたのだろうか。
そうだとしたら恐ろしい。





「…ん」
「…わかりましたから！」



そっと頬を包み込んで、体を少し起こして、頬に口付けた。




「……」


不満そうな目をされてしまった。
私は知らないフリをする。



「……」



知らないフ…


「……わかりました！！もうっ！！」



首に腕を回して勢いよく唇を重ねた。




すると彼の何かを動かしてしまったのか、その日は部屋から出られなかった。

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