十二匹 ページ12
「ぎゆーー!起きて!起きて!」
どんどんっと布団の上から首元に乗っかるA。
「ぎゆーー!」
「……寝たい」
「だめ!ぎゆー!Aと遊んで!ぎゆー!」
今日は非番だ。
あと少しぐらい寝たい。
「ぎゆー!!」
布団に潜り込んできて、腹に頭突きをかましてくるA。
「……布団魔人は怒ったぞ」
俺はAを捕まえて、布団に包む。
「……布団魔人の必殺技____布団巻きだ」
「おふとんまじんめ!!」
Aは悔しそうに、ニョキニョキと布団から抜け出そうとする。
「……どーん」
抜け出そうとするAに圧をかける。
潰さない程度にのしかかった。
「おふとんまじんー!!おもいー!ぬけだせない!!」
「……ムフフ」
「えいっ!えいっ!」
短い手足をばたつかせ、なんとか抜け出そうとするA。
「……布団魔人に降参するか?」
「しないっ!ぜったいしない!!」
「……ドーン」
「ぎゆー!おもいー!!」
「……降参か?」
「うぅ、こうさん」
降参と聞こえたので、布団からAを取り出して、布団を元に戻し、また布団に入る。
「……寝よう」
「遊びたい!」
「降参しただろう」
「……ふんっ」
Aは顔を背けた。
頬をつんつんと触ると、噛み付いてくる。
五歳の頬はぷにぷにしていた。
「ぎゆー、やめて!」
「……布団魔人に負けた罰だ」
「かんぺきには負けてないもん!」
「……そうか」
ギュッと抱き寄せて寝る。
柔らかな小さなお腹に顔を寄せ、目をつぶる。
「ぎゆー、髪ある!」
「……ないと困る……俺はまだ二十一歳だ」
あと少ししたらあの少年もやって来るだろう。
鬼の妹を連れたあの少年が。
***
「……そろそろ起きるか」
目を覚ませば、髪を引っ張られる感覚がした。
「……」
Aは俺の髪を握ったまま寝ていた。
ゆっくり一本一本Aの指を外していく。
「……ふぅ…」
外し終えた後、Aに布団をかけてやる。
洗面台の前に立ち、顔を洗い、髪を結ぶ。
「A、朝ご飯を食べよう」
優しくお腹をぽんぽんする。
「……いやっ、まだねる!」
「風呂一緒に入ろう」
「やっ!」
「不死川が作ってくれた木のお魚でお魚すくいもできるぞ?」
木の魚をお風呂に浮かせて遊ぶのだ。
それを風呂に入る度、俺と何匹取れるか競っている。今の所一度も俺は負けた事はない。
「お魚すくい?やる!やる!」
Aは飛び起きた。
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古猫丸(プロフ) - 義勇さん(義勇と杏寿郎推しさん)さん» わぁぁ!!本当ですか!ありがとうございます(*´ω`*)面白くて楽しい、だなんて!!とても光栄です!むふふ( ´艸`)、義勇さんの応援まで!ありがとうございます(*^^*) (2021年2月21日 19時) (レス) id: c92cfbb025 (このIDを非表示/違反報告)
義勇さん(義勇と杏寿郎推しさん) - 面白い....!楽しい....!(これからも)頑張れ....(義勇) (2021年2月21日 19時) (レス) id: c088eaa142 (このIDを非表示/違反報告)
古猫丸(プロフ) - あさがおさん» 以前に見てくださって居たのですねっ!見つけていただいて嬉しいです!!(*´ー`*)これからも見ていただけたら、嬉しいです!!素敵なコメントをありがとうございました!m(_ _)m (2021年1月21日 23時) (レス) id: c92cfbb025 (このIDを非表示/違反報告)
あさがお(プロフ) - 前に見てたんですけど、タイトル忘れちゃって探してたら見つけた…!!いつも楽しく読ませていただいてます(*´▽`*) (2021年1月21日 23時) (レス) id: a880b45ead (このIDを非表示/違反報告)
古猫丸(プロフ) - シルバーウルフさん» はいっ!嫌われていませんよっ!(*´ω`*)夢主ちゃんと最後に仲直りできたので、万々歳です(*´∇`)コメントありがとうございました! (2021年1月21日 22時) (レス) id: c92cfbb025 (このIDを非表示/違反報告)
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