松川一静 ページ4
うちの高校は男子バレーがそこそこ強豪だと聞いている。
友達が及川くんのファンで、何度か連れられて練習を見たことがある程度だった。
バレー部のスタメンで、一部女子の中では色男と呼ばれている、松川くん。
私は彼と今日、文化祭の演劇で共演することになっていた。
配役は私がお姫様で彼はその相手の王子様。
私は目立つのが好きではない。苦手だ。
「あ、の、お姫様、役なんて無理…！」
必死にお願いした。だけどくじで決まったんだから諦めて、と言われてしまった。
仕方ない、と今日まで練習してきたくせに、いざ今から本番となると、不安になり、逃げ出してきてしまった。
発表が行われる体育館から離れた、校舎の空き教室。
中へ入り、体育館側の窓を覗くと、クラスメートは私のことを探してくれていた。
ほんとにごめん…！
そう思っていたら、足音がした。
やばい…！と思うも後の祭り。
クラスメートに見つかってしまったらしい。
「あ、いた」
息が止まりそうになったが、落ち着いて、ゆっくり後ろを振り返る。
「…松川くん」
「みんな探してるよ」
「うん、ごめんなさい、でもやっぱ無理で…」
「ふーん。じゃ、俺もさぼるわ」
そう言って、空いている机に座った。
驚いた私は俯いていた顔をあげ、
「連れ戻しに来たんじゃないの、？」
と聞いた。
彼は少しだけ目を伏せて、
「違うよ。俺も演劇なんてめんどくさいけど、あんたが相手だったから仕方なく受けたんだよ」
でもその本人が出ないなら意味ないだろ、と言った。
「え、なんで私…？」
「俺、2年の時からあんたのことずっと追いかけててさ、きっかけなくて、やっと掴めたんだ。」
2年の時クラス違うよね？、と言うと、ただ廊下で一目惚れしただけだよ。と言ってきた。
言ってる向こうは何ともなってないのに、なぜか私だけ赤くなっていた。
顔の熱が一向に引きそうにない私を、彼は黙って見つめてくる。
そして、椅子から立ち上がった彼は、ゆっくり私の近くまで来た。
「文化祭なんかで全校生徒に見せるの嫌だなって思ってたけど、これで見るのは俺だけ」
よかったわ、なんて言って彼はゆっくり私の前にひざまづいた。
「俺の大事なお姫様。」
彼は私の左手を取り、手の甲に優しくキスを落とした。
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ひのちか(プロフ) - 颯さん» こんにちわ。そう言って貰えてありがたいです！これからもよろしくお願いします:) (2020年3月3日 4時) (
レス) id: 833028814c (このIDを非表示/違反報告)
颯(プロフ) - 初コメ失礼します。この短編凄く好きです。胸キュンが凄いです。更新頑張ってください。 (2020年3月2日 23時) (レス) id: ec9a814c94 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひのちか | 作成日時：2019年10月30日 22時
