初恋【北信介】 (ページ3)

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｢...一人か？｣

俺の名前を知っててくれた事に少し驚いた

うん、と力なく頷いた彼女は慌てて頬を拭う

｢俺で良かったら話、聞こか？｣

一瞬目を見開いて
いいの？と何時になく弱々しい彼女を近くのベンチに座らせてちょっと待っとってな、と自販機へ向かった

｢ミルクティー好きか？｣

｢うん、わざわざありがとう｣

ん、と隣へ座って少し沈黙の後

｢最近あんまり調子よくなくて｣

彼女の心地いい声が耳に入る

｢1年生にね上手い子入ってきとってから、それに焦っとる自分がいる。今日も大事なとこでミスして。自分がしっかりせんばんとに｣

悔しそうに話す彼女を見て
親近感が湧いた

いつも自分よりもっと上の次元におる人やと思っとったけど、ちゃう
この子も俺らと同じなんや

｢俺も同じような感じや｣

｢え？｣

｢1年にな上手い双子入って来おって。なんやもう寧ろ尊敬しててん。して俺も頑張らな思った｣

事実
あんな上手いの入ってきて焦らんやつはおらんやろ