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『…今週の土曜日』
ポケットからスマホを出した隼くんは、スケジュールを確認してから、ふぅって息を吐いた。
「いいよ…行きな?
ただし、1時間」
『え?』
「夜のスケジュール、空きそうだから……
迎えに行く」
『いいの……?』
「友達……助けたいんでしょ?」
『ん……』
苦笑いの隼くんは、私をぎゅっと抱きしめると大げさに肩を竦めてため息…。
「やっぱり厳しく指導なんかできません……」
『ごめん……』
隼くんは、あぁ〜あ……ってソファーにドカッともたれて、目をつむったまま動かなくなった。
「例えばさ……Aがとんでもない悪女でさ……」
目をつむったままで呟くように言ってから、目を開けて私を見た隼くん。
『……え?』
「例えば…よ?
Aが詐欺グループの一味でさ、親が病気で…とか、親の会社が危なくて……とか言われてたとして…
俺はAなら全財産あげちゃうだろうな……」
『何それ…』
「そんくらい甘い自信ある…」
『ダメじゃん……』
「ね?」
…ね?って……。
『ちゃんと……無事に帰ります』
「当たり前だっつうの…」
ソファーから体を起こして、ほらって手を広げる隼くんの胸に飛び込むと、ぎゅっと抱きしめられた。
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作者名:ひな | 作成日時:2024年3月28日 18時