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「…田中じゃん」
『あ…先輩』
駅前交番にユウキ先輩がいて、元気か?って。
クミさんにもペコリと頭を下げて、笑顔で挨拶してる。
「母です。
いつもうちの子がお世話になってます」
「え……お母さん?」
笑顔のクミさんに、先輩は不思議顔。
そうだよね…母親じゃないのはわかってるから。
『お母さん…よりお母さんかな…?』
「あら、嬉しい!」
ニコニコなクミさんと、勤務中の先輩に手を振ってお目当ての焼き鳥屋さんへ。
お互いに、少し前から行ってみたいって気になってたお店。
カウンターの隅に並んで座って、とりあえずビールで乾杯。
「あぁ〜美味しい!」
『最高ですね…!』
仕事の後のビールはたまりません。
好きなものをお互いに頼んで、ビール片手に焼き鳥を楽しむ。
「Aちゃんって…地元は?」
『生まれも育ちも東京です』
…そういえば、隼くんにもしたことないかもな、この話。
「いつから1人暮らしてるの?」
料理の手際もいいし、1人暮らし歴が長そうって。
『高校卒業と同時なので……もう7年…くらいです』
「ご両親は?」
『あ……んっと………』
普通にしたつもりだったけど…
たぶん、一瞬、顔が曇ってしまったんだと思う……。
クミさんに、しまった…って顔をさせてしまった。
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作者名:ひな | 作成日時:2024年3月15日 22時