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「ますます…側に置きたくなった……」
『ん?』
「何でもない……」
隼くんと一緒に歩いてアパートに着いて、とりあえず洋服を出してキャリーに入れようとして気付いた。
さっき濡れてなかったとこが濡れてる……?
壁を触って確認したつもりだったけど……
どうやら、濡れてたとこの反対側は、壁から伝わらずに落ちてきてたみたい…。
…気付かなかった……。
「マジか……いっちゃってる?」
『いっちゃってる………』
隼くんが上の階に行ってくれて、管理会社の人と話をつけてくれ、また写真を撮ってもらう。
「早いとこ出した方がいいね…。
この辺は処分かな………」
仕事着を入れてたケースはセーフ……
ただ、お気に入りの服をかけたハンガーラックは全部アウト……。
とりあえず無事なものを畳んで詰めてたら、隼くんが後ろからぎゅっと抱きしめてくれた。
「大丈夫?
……じゃないよね?」
よしよしって慰めてくれ、俺がなんでも貢いであげるから心配するなって…。
『それはそれで心配なんだけど……』
「なんでよ!」
隼くんが思い切り笑って空気を明るくかえてくれて……沈んでた心があったかくなる。
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作者名:ひな | 作成日時:2024年3月15日 22時