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時計を見たら、お昼なんてとっくに過ぎていて……
業者さんらしき人と一緒に、上に下にとバタバタ動き回る管理会社の人に声をかけてから、一旦隼くんのマンションに帰ってきた。
ホントは私が料理する約束だったんだけど…
時間も時間だし……と、隼くんがデリバリーしてくれた。
「A?これうまいよ?」
好きでしょ?ってニッコリ笑顔で唐揚げを私のプレートに入れてくれて、ハッとした…。
「今…俺の存在、忘れてたっしょ……?」
『………ごめん』
カウンターで並んで食べながら、どこで暮らそうか……とか、いろいろ考えてたから、意識は思い切りお出かけしてた……。
「…正直かよ」
苦笑いの隼くんが私の肩を抱き寄せて、コラ!って頭突き…
全然痛くないし…なんなら、優しさしか感じない。
「…へこむよね…そりゃ…」
よしよしって頭を撫でてくれて……
その手がすごく優しくて、涙が溢れて来た。
抱き寄せてくれてる隼くんの体におでこをつけたら、持ってた箸を置いて抱きしめてくれる。
「…大丈夫……俺がいるから………。
俺ねぇ、Aの彼氏なの。
こういう時こそ頼ってよ……」
顔を上げると、着てた服の袖で涙を拭ってくれて目尻にキスを落とす。
「マジで……ここにいなよ」
水に濡れて駄目になったものとか、引っ越しにかかる費用とか、管理会社の保険とか上の階の人から出してもらえるらしく、お金の心配はいらないけど…
当面の暮らしをどうするか……。
…ここにいなって言ってくれるけど……
そんな迷惑かけれないよ…。
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作者名:ひな | 作成日時:2024年3月15日 22時