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「お願いだから……俺の言う事聞いてよ?
誰かにとられるとか…無理だからね?」
体を起こして私の頭を抱えると、ぎゅっと肩を引き寄せてた隼。
そんな隼の胸におでこを付けたまま頷き、腰に腕をまわした。
『……タカヒロさんにもね…』
帰りのタクシーで同じ様な事を言われて諭された話をしたら、隼は少しだけ笑顔に……
「…ケンカを買った過去はなかなか消えないね?」
『……ホントに…』
肩を落とした私を今度は隼が優しく撫でてくれた。
「A〜?今日は事務所だったよね?」
『うん、リハ!』
ソファーに座り、隼が淹れてくれたコーヒーを一緒に飲む……至福な時間。
…お互いに朝がゆっくりな日のお約束になってる。
リハの度にタクシーで事務所に向かうようになって、数日。
タカヒロさんが総務の方に聞いてくれたけど、あの人が受付に来たり、電話をかけてきたりもないらしい。
警備員さんにも顔を覚えてもらって、許可証がなくても顔パスで裏から入れるようになっちゃった。
「何もないからって、気を抜かないでよ?」
『はい!』
元気に右手を上げて返事すると、小学生か!って大好きな笑顔で突っ込まれた。
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作者名:ひな | 作成日時:2023年10月12日 20時