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彼女が押してきた自転車を壁に立てかけて、玄関をロックすると、もうダメだった…。
「会いたかった…」
彼女の言葉も聞かず…ぎゅっと抱きしめた。
会いたかった…もう、この一言に尽きる…。
「これは、何もしないに入らないから…ノーカウントだからね…」
訳のわからない言い訳をしたにも関わらず、文句も言わずに抱きしめさせてくれたけど、背の低いAちゃんには、さすがに息が苦しくなったみたいで、胸を叩かれた。
ごめんね…
玄関で何してんだか……
自分の我慢のできなさに苦笑しかできない。
ってかさ…会ってすぐにこんなんで、無理だろ…手を出さず我慢するの…。
とりあえず、落ち着こうとコーヒーを入れて、ソファーに座るAちゃんの横へ。
机の下に置いてたキーリングをお土産って渡したら、すぐに、土産とは違うってバレた。
彼女になる前に買ってたって言ったら、引くかな…ネタバレはまた今度。
ってかさ、「こっちがホントのお土産」って渡したチョコの方を、喜んでるし…。
なんだよ…
そっちがいいの？
けど、まぁそうだよな。
いろいろ貢がれて喜ぶタイプじゃないもんな。
そこがいいとこなんだけど…
ちょっとへこむ…。
ポケットに入れてた部屋の鍵を、キーリングにつけてから渡そうとすると、いいの？って。
そんなに信用していいのかって言われて、幸大たちとの話をすると、ちょっと怒ったフリで騙されて…かなり焦った。
この子には絶対敵わないって思った瞬間だった。
これが、ホレた弱み…ってやつ。
騙されたからって、あたり前だけど怒る気になんてなれない。
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作者名：ひな | 作成日時：2022年1月27日 20時
