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「はい…紅茶淹れたわよ?」
『ありがとうございます!』
女性アーティストのレッスンを立て続けに2名終えた後、少し休憩……と美味しい紅茶を淹れてくれた。
『加藤先生の淹れてくれる紅茶、ホントに美味しいです!』
「あら?そんなお世辞言っても、紅茶以外何も出てこないわよ?」
『えぇ……今日はケーキないのかぁ………』
ひと回り以上歳上な加藤先生に対して…って思いつつも笑ってみるけど、そんな事を気にするような小さな器じゃないのもわかってる。
「あなたねぇ……あっそうだ!」
呆れたように笑いながらも、ケーキはないけど…と、チョコレートを出してくれた。
『ありがとうございます!
わ……高級品……』
「いただき物よ〜。
残り、持って返っていいわよ?」
『え……いいんですか?』
「…いっきに食べたら肌荒れすごいからね?
気を付けなさいよ?」
見た目は可愛いのに無頓着……とお小言を言いながらも、いくつか一緒に摘んだ後で紙袋に入れ、私のバッグの横に置いてくれる。
…ホント、優しいんだよなぁ〜。
「あ……そろそろ王子が来るわよ?」
『王子?』
「そう、王子」
私と話が合うと思うって笑いながら、次のレッスンに向けて準備を始めると、予定時刻ギリギリにインターフォンが鳴った。
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作者名:ひな | 作成日時:2023年8月8日 23時