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「ん?」
私の視線にクスッと笑いながらも、少しだけ首を傾げると、考える仕草を見せる。
「アーティスト志望って……ピアニストとは違うの?」
『まぁ……同じといえば同じなんですけど…
クラシックに拘らず、いろんなジャンルを弾きたいし……』
〔ピアノに関わる仕事がしたい〕
小さい頃からの夢は変わっていない。
今は、レッスンをする側だけど……いつかはプレイヤー側でお金をもらえるようになりたい。
私のピアノで…人を笑顔にしたいんだ。
先生には以前、食事の席で夢を話していた。
バカにすることなく応援してくれて……
こんな風にレッスンの仕事を手伝った時なんて、十分過ぎる日給を出してくれる。
「いいね!いいよ……いいと思う」
キラキラした目で私を見つめる片寄さんに、思わず赤面……
…本物の王子なのか?
「もぉ………涼太……。
何?そのいいね3段活用!」
大笑いする先生に、片寄さんも一緒に笑うけど……
「けど、ホントにいいと思う。
頑張って!俺も応援する!!」
『あ……ありがとう…ございます』
なんか猛烈に恥ずかしくて、視線を鍵盤に移すと、背中に先生の手が触れた。
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作者名:ひな | 作成日時:2023年8月8日 23時