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ボーカルレッスンの後でコーヒーを淹れて、今度はリラックスタイム。
先生のレッスンはボーカルの技術だけじゃなくて、メンタルもケアしてる。
「最近、忙しいんじゃない?
寝れてるの?」
「まぁ……ぼちぼちですね。
仕事があるのはありがたいんで……今は頑張るしかないです」
片寄さんの話を聞きながら、喉のケアのことを話していたのに、先生は急に私を呼んでピアノ前に座らせた。
「A、なんか弾いてよ」
『へ?』
…唐突過ぎて、変な声出ちゃった。
「へって……」
案の定、先生にも片寄さんにも大笑いされたけど…
…だって……しょうがなくない?
「この子、本業はピアノの先生なんだけど……
ホントはアーティスト志望なの」
『先生!』
…今日初めてあった人に話しちゃうなんて……
「いいじゃない…減るもんじゃない。
夢はね、口にしながら実現させてくのよ?」
「あぁ……言霊ですね。
うちの事務所でも、大事にしてますよ」
優しく微笑む片寄さんは、コーヒーカップに口を付けながら私を見る。
……先生が王子って言ったのが、よくわかる…。
雰囲気とか、仕草が本当に王子さまみたい。
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作者名:ひな | 作成日時:2023年8月8日 23時