Someday My Prince Will Come (ページ13)

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『世界くん、できたよ？聞いてみて』

ゲームしてる世界くんにヘッドホンを返すと、トラックを再生する。
タイムリミット前に仕上がったそれに

「もうできたの？」

って時計をちらっと見たあと、ニコニコ笑いながら

「さすが……」

って一言。

『こういう作業って自分でしなきゃなの？』

「ん？
イヤ、ホントはしてくれるスタッフさんがいるんだけど…
こっちのしたい事伝えて、作り変えて、聞いて……って繰り返して…
完成までに時間がかかるわけよ」

全部自分でやる人もいるけど、って笑いながら、

「Aちゃんは、信頼と実績のかたまりだから……」

『ズルい…』

ジト目で見る私に、なんのこと？ってとぼける世界くん。

世界くんの頼み事を断れないのも、私がどんな風に褒められたら喜ぶのかも、わかってるもんなぁ…。

『大人になるってそういう事？』

ジト目のままで言うと、

「よくわかんない…」

ってニヤリと笑い……頭をクシャっと撫でる。

ほら…ズルい。

『次のステージ…見たいけど、暗くなる前に帰るね？』

「あぁ……そっか……。
ありがとう。ホントに今度、お礼するね？」

『うん。またね』

メンバーさんにも頭を下げて、部屋を出ると

「ちょっと！帰り着いたら連絡ね？」

顔を出して私に言う世界くん。

『は〜い！

あ…今から“さくら”に行く』

「じゃ、さくらに着いたら連絡よろ〜」

パタンとドアが閉まってから、なんだか騒がしくなる楽屋。

きっとメンバーさんに質問攻めにされてるだろう。

はじめに声をかけて来た佐藤さん以外の皆さんも、みんな興味津々って感じで私達を見てたから。