あなたに会えたから８ (ページ14)

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平日だけど、夏休み中だからか、お客さんも途切れなく入る。

涼太さんは、昼前にキャップにメガネでやってきて、カウンターの端っこに座った。

『いらっしゃいませ～』

って側に行くと、「めっちゃいい感じのお店やな？」ってニコニコして、

「ん……と、アイスコーヒーお願いします」

って。

マスターにオーダーを通すと、

「おぉ……！さっきはどぉも〜」って笑顔で話してる。

なるべくいつも通りに……って思うけど、ちょっとソワソワしちゃうな。

「あ……ねぇねぇ！Aさん！あそこのカウンターの人、芸能人ですよ！」

って山口くんが側に来て、シレ〜っと、『そうなの？』って返すと、

「知らないんですか？ジェネレーションズのボーカルの片寄涼太！

脚なが〜っ！」

って騒ぎそうになってるから

『山口くん？静かにしようね？』

って一言。

「えぇ〜！俺、好きなんだよなぁ。

っていうか、Aさん！修哉って呼んで下さいよ〜！」

ってくっついていて来るから、ちょっと距離を取りつつ………チラッとカウンターを見ると、

マスターと話しながらもジト目で見てくる涼太さん。

…怒ってる？って思ったけど、そのまま柔らかく笑って、アイスコーヒーに口をつける。

空いたグラスやテーブルを片付けて、カウンターに運ぶと

「Aちゃん！ちょっとカウンターの中入って！」

って、そのままカウンターの中で洗い物。

涼太さんがこっそりアイコンタクトしてきて、

「あの……気を付けてくださいね？」

って、山口くんを警戒してる。

そうこうしてたら、

「おっ！相方登場じゃん？」

ってマスターが涼太さんに声をかける。

数人の厳ついお兄さん達と入ってきた数原さんが、

「涼太も来とったんや？」

って、笑ってる。

「あっ！Aちゃん！僕にもアイスコーヒーちょうだい！」

って、涼太さんの近くのテーブルにみんなで座る。

「隣じゃなくていいの？」

ってマスターが笑ってて、

「なんでプライベートでも隣に並ばなアカンの！」

って笑いながらも、「涼太、どうやって帰んの？」

って、振り返る。

「タクシーかなぁ……」

って言ってる涼太さんに「乗せてこか？」って。

隣に並びたくないって毒づいてたのに、やっぱり優しい。

「マジで？いいんすか？」

って、うれしそうにデレながら、車を出してくれてる人を紹介されて、挨拶してる。

ほら……本妻はやっぱり数原さん。